2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new evaluation method for chewing function applying basic food science and its ripple effect on oral flail
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20K10147
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
渋谷 恭之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (90335430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 素子 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (60310463)
桐田 忠昭 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70201465)
梅田 正博 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (60301280)
栗田 浩 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10273103)
明石 昌也 神戸大学, 医学研究科, 教授 (40597168)
前田 道徳 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (60636546)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テクスチャーアナライザー / 硬さ / 凝集性 / 咀嚼機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで報告されている咀嚼能率評価表は客観性に乏しいだけでなく、咀嚼難易度の判定基準が不明確であり、食品の調理方法などもあいまいであった。また作成年度が古く、現代の食生活に合わない食品も認められることから、新しい評価表の作成が不可欠と考えられた。 現在、顎骨切除後の咀嚼機能評価には山本の咬度表、発色ガム、グミゼリー等が利用されている。山本の咬度表では6つの咬度のうち患者が摂食可能と解答した食品が半数以上を占める最高の咬度を患者の評点としているが、アンケート調査表であるために患者の嗜好や気分によって調査結果が異なるリスクが高く、信頼性に乏しい。一方、既存の発色ガムやグミゼリーは咬断、粉砕、さらに発色ガムは混合などの咀嚼機能を評価できるが、その硬さが顎骨切除後の患者にとっては不適切なケースがあり、我々の先行研究では全く噛めずに検査ができなかった例を1~2割程度認めている。また咬合力が温存されている患者であっても舌や頬粘膜の合併切除により食物を唾液と混和する食塊形成能が低下した症例では適切な評価ができない。 そこで我々は信頼性の高い新規咀嚼機能評価法を開発する必要性を感じ、食品基礎科学研究の第一人者である高岡素子教授らと共同で、硬さ、粘着力、付着性の3要素をベースに食材の物性を正確に数値化することに成功した。その成果を応用し、①山本の咬度表の検証、様々な物性に対応できる②新規グミゼリーの開発、③新しい咀嚼機能評価法の確立、④最適な術後再建法と口腔リハビリテーションの立案、最終的には⑤オーラルフレイルの新たな評価法として社会への還元を目的に本研究を計画した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般的に食材の客観的な評価尺度には食材物性3要素である硬さ、粘着性、付着性があり、加えて、この3要素を基に算出される凝集性や咀嚼性が挙げられる。そこで100種類の食品について、テクスチャーアナライザーを用いて物性を測定した。その中で佐藤らの総義歯咀嚼機能評価表(1988年)の咀嚼指数と相関関係にある、「硬さ」と「凝集性」に着目した。この2つの要因は食品の咀嚼に影響すると考えられる。「硬さ」と「凝集性」のデータを元にクラスター解析を行い、100種類の食品を7つのクラスターに分類した。この中でもクラスター4は凝集性が高く、巨峰、大福などが含まれた。一方、凝集性の低いカテゴリーには硬さが高いクラスター5と硬さが低いクラスター7が存在し、クラスター5にはりんご、甘栗など、クラスター7には最中、茹でたメークインなどが含まれた。このクラスター分類については特許出願中である。 次に各クラスターの平均値を示すグミゼリーの開発を行った。これに先立って市販のグミゼリーの硬さや凝集性をテクスチャーアナライザーで測定したところ、予想以上にバラツキがあることが判明した。ただし自家製のグミゼリーに関しては、正確なデータは揃っていない。一方、前述のクラスター分類ごとにアンケート調査を行い、患者の咀嚼能力の詳細を評価する方法を現在検討中である。具体的には各食品を「簡単に食べられる」2点、「困難だが食べられる」1点、「食べられない」0点で評価し、また「嫌いだからたべない」を△、「食べたことがない」を□で表記することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
各クラスターの平均値を示すグミゼリーの開発が急務である。ただしテスターとして均一の硬さや凝集性が得られることが必須であり、また各クラスターの代表値をどこに設定するか、保存状態によってデータが変化する可能性があるのか、さらに食品としての安全性に問題がないか、といった点において未だに検討の余地がある。テクスチャーアナライザーで先立って行った市販のグミゼリーの硬さや凝集性のデータについては、全てのクラスターを評価できるだけの数が確保できていない。 一方、前述のクラスター分類ごとに作成したアンケート調査表では、患者に実際に咀嚼を行ってもらった経験と、それを食塊形成し嚥下が可能であったかを指標にすることとした。この際の問題点は、患者が高い点数を得るために無理に食品を嚥下し、誤嚥をするのではないかといった点にある。また患者の咀嚼能力の詳細を評価する方法を「簡単に食べられる」2点、「困難だが食べられる」1点、「食べられない」0点で評価し、また「嫌いだからたべない」を△、「食べたことがない」を□で表記することの妥当性についても議論の余地があると考えている。そこで、プロトタイプを作成し、口腔外科手術後における典型的な咀嚼機能低下者を対象にデータを採取し、アンケート調査方法の不備がないかを確認後、Japanese study group of co-operation dentistry with medicine (JCDM)を活用して、300例以上の顎骨切除後患者のデータを抽出する予定である。
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Causes of Carryover |
食品の物性測定はほぼ終了しているが、その物性の平均値を示すグミゼリーの開発が進んでいないため、それらを用いた多施設による臨床研究もまだ開始されていないため。
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Research Products
(1 results)