2020 Fiscal Year Research-status Report
咀嚼筋腱・腱膜過形成症の新規治療法へ向けた基礎研究~“筋内腱”発生機序の探索~
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20K10191
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
山本 将仁 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90733767)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 筋・腱・骨複合体 / 頭頚部 / 筋内腱 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
咀嚼筋腱・腱膜過形成症は、咬筋や側頭筋の腱および腱膜の過形成により開口障害を伴う、新たな概念の疾患である。本疾患の主な病態は骨格筋内の腱の過形成であり、その病因を解明するためには“筋内腱”の発生機序を明らかにする必要がある。しかし、腱研究の主流はアキレス腱などの“筋外腱”であり、“筋内腱”の発生機序は明らかにされていない。申請者はこれまでの発生研究の中で、咬筋の筋芽細胞群の中に突如として腱原基が出現することを偶然見いだした。その結果から、“筋内腱”の起源に関して2つの新たな視点の仮説を立脚するに至った。具体的には、(1)筋芽細胞が腱細胞へ形質転換する、(2)腱前駆細胞が筋内へ遊走し腱細胞へ分化する というシナリオである。本研究の推進により世界に先駆けて筋内腱の発生メカニズムを解明する。そして、咀嚼筋腱・腱膜過形成症に対する新規治療法の開発に向けた基盤構築を目指す。 現在までに、vivoならびにvitroの両方面から実験を行っている。in vivoの実験ではC2C12にmyostatinを添加することでTenomodulinの発現量が上昇したことから、腱への誘導が促進されることの一端が明らかになった。一方、in vitroの実験では主にトランスジェニックマウスを用いた。その結果、頭部の筋内腱はWnt1陽性の頭部神経堤由来であり、胎生期に先に出現した筋原基と後に発生した筋原基の間に出現することを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は咀嚼筋である咬筋の筋内腱の起源と発生メカニズムについて調査した。Wnt1Cre;tdTomato マウスの解析から、筋内腱はWnt1陽性頭部神経堤由来であることがわかった。また、筋内腱は胎生期に先に出現した筋原基と後に発生した筋原基の間に出現することが、Sox9CreER;tdTomato マウスによる細胞系譜解析により明らかになった。 また、筋芽細胞株であるC2C12にmyostatinを添加することで、腱細胞へ分化誘導を行った。その結果、C2C12に3T3積層後、myostatin添加することで腱への誘導が促進される可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は筋内腱の起源をより明確にするために、現在Wnt1CreER;Brainbowマウスを作出し、細胞動態をライブイメージングでおこなう準備をしている。
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Causes of Carryover |
免疫染色にかける費用の一部を節約できたために生じた。
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