2021 Fiscal Year Research-status Report
新視点で探る口腔バイオフィルム細菌叢の存在意義~硝酸還元活性と全身・口腔健康~
Project/Area Number |
20K10241
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鷲尾 純平 東北大学, 歯学研究科, 講師 (20400260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 拓一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10303132)
高橋 信博 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60183852)
互野 亮 東北大学, 大学病院, 助教 (80845876)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔細菌 / 硝酸 / 亜硝酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔バイオフィルムは、これまでう蝕、歯周病、誤嚥性肺炎等の様々な病原因子としての“負”の作用がクローズアップされてきた。一方、構成細菌の持する硝酸還元活性により産生される亜硝酸塩は、血液循環の改善や、一部の口腔細菌の増殖を抑制することが近年示され、我々の健康維持に寄与しうるという“正”の作用を持つ可能性に注目が集まっている。 そこで私たちはこれまで、口腔バイオフィルム中の硝酸還元活性を持つ菌について網羅的探索を行い、口腔内における亜硝酸産生を担う細菌種として、Actinomyces, Shaalia, Veillonella, Neisseria, Rothia属がその大半を占めることを明らかにしてきた。 さらに、前述の細菌種のうち、いくつかを用いて、酸素濃度、pH、亜硝酸濃度、糖濃度、乳酸濃度等、種々の環境因子を変動させた際の硝酸還元活性の変化を測定した。その結果、いずれの菌においても、環境条件により、その産生能を大きく変動させることが明らかとなり、その変動は菌種によって傾向が異なることが示唆された。 本年度は、引き続きどのような条件下で最も効率的に亜硝酸が産生されるのかについて検討するとともに、亜硝酸をさらに分解する菌の探索にも着手し、いくつかの菌種で分解活性を持つことを認めた。なお、当初予定していた実際のプラーク試料をもちいた検討は、コロナの感染対策の影響により、少し計画を順延した。 次年度も引き続きこれらの点について明らかにしながら、研究を進める予定である。また、研究内容の公表に向けても取り組みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ関連の影響をうけ、一時的に研究活動に遅れが出たが、影響が小さい時期にリカバリーできたことにより、今のところおおむね順調に進展している。 しかし、当初予定していた実際のプラーク試料をもちいた検討は、コロナの感染対策の影響もあり、少し計画を順延し準備中としている。その分、基礎的研究の幅を少し広げ、先取りした研究を試行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行ってきた、個々の細菌を用いた”硝酸および亜硝酸代謝活性と環境要因によるその影響”について、さらに実験及び分析を進めていく予定としている。 また、状況が許せば実際のプラークにおいても、同等の環境を付加した際に同様の変化が得られるのかについても明らかにしたいと考えている。(現在、感染対策を鑑み、順延中) また代謝に変化が見られたものについては、その仕組みの詳細について基礎科学的に明らかにする予定としている。 得られた研究成果を、学会やシンポジウムなどで発表し、参加者とのディスカッションを通じブラッシュアップするとともに、論文発表に向けた準備を行う予定としている。
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Causes of Carryover |
実験は順調に推移しているが、当初予定していた学会発表などがオンラインで開催されるなどしたため、当初の予定よりも旅費などの使用額が少なくなったためと思われる。 一方、社会情勢から各種消耗品などの値上がりも続いているため、未使用額は来年度以降の消耗品の購入や、今後の学会出張などの際に使用する予定としている。
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Research Products
(29 results)