2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K10244
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森尾 郁子 東京医科歯科大学, 統合国際機構, 教授 (50191010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
關 奈央子 東京医科歯科大学, 統合国際機構, 助教 (10612690)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 批判的思考力 / 歯学教育 / カリキュラム / 教育目標 / 教育手法 / 教育評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年12月4日に協定校より世界の歯学教育者をオンライン上に集め、歯学教育における「批判的思考力」育成の現状に関する情報交換・共有と課題抽出を行った。参加者は6ヶ国から合計15名であった。 どの国においても、「批判的思考力」は特に重要で、臨床においても研究においても歯科医療従事者として欠かせないソフトスキルであるという合意に至った。治療計画立案や論文を批判的に読み込むことは、臨床でも研究においても欠かせない資質である。さらにこのスキルはコミュニケーション力、情報収集力や情報選択・応用・伝達力ともリンクしている。このような項目を行動目標と定義し、すべての歯科学生が修得すべき資質として良いのではないかと考えられた。 一方で、「批判的思考力」育成には課題が多いことも明らかとなった。まず、「批判的思考力」に関する具体的な教育目標の設定とその到達度の評価が難しい。短期的には習得できず、長期的な評価が必要になる。また、学生がその重要性に気づくのは卒後であることが多い。そのため、成績、歯科治療技術習得、卒業判定等が最重要課題となりがちな教育現場では、「批判的思考力」にあまり関心が向かないことも懸念される。さらに入学時に既に学生間で「批判的思考力」に差がある可能性もある。 「批判的思考力」は重要であるが、歯学教育では技能教育にも重点をおく必要があるため、多くの知識・技術を学生に教えようとするあまり、議論やソフトスキル涵養にあまり時間をかけないという傾向もある。「批判的思考力」は経験を通して養える側面もあることから、カリキュラムに余裕を持たせ、時間を与えることも必要である。限られたカリキュラム時間内において、歯科学生のための「批判的思考力」教育が必要であることが示唆された。カリキュラムに「批判的思考力」育成をどのように組み込んでいくべきか、引き続き具体的な検討が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染拡大の影響で、2020年12月上旬に予定していた海外からの研究協力者の招聘をやむなく中止することとした。その代わりとしてオンラインにより意見交換の場を設けて、意見を集約し、課題を大まかに抽出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施したオンラインの意見交換により、質問票調査では洗い出しきれない点も多くあることが考えられたため、2021年度は簡易な質問票(キークエスチョン)と同期型のオンライン会議で具体的なカリキュラムのアイデアを収集する。学生自身で情報を収集・分析し「批判的思考力」を伸ばすための教材や課題を作成するといった方法も1つの教育手法であると考えられた(2022年度学会発表予定)。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大の影響で、12月に予定していた海外からの研究協力者の招聘を行うことができなかった。最終的に中止の決断をした時期の関係もあり、予算の執行を計画通りに行うことは難しかった。今後、オンライン会議や教材作成等に必要な機材などを購入する予定である。
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