2020 Fiscal Year Research-status Report
NETsを起点とした口腔がん発生機序の解明~口腔細菌とニコチンのクロストーク~
Project/Area Number |
20K10289
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西岡 貴志 東北大学, 歯学研究科, 助教 (50641875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 浩之 東北大学, 歯学研究科, 講師 (70431632)
伊原木 聰一郎 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80549866)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニコチン / 口腔がん / NETs / 細菌感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、細菌感染やニコチンによる口腔粘膜上皮バリア破綻、NETsによる炎症誘導を検証し、NETsを起点とした口腔がん発生のメカニズムを明らかにすることである。 口腔は他の臓器・組織に比べ、外界と常に交通し、恒常的に細菌感染、化学物質の暴露、温熱・物理刺激を受ける特殊な環境にある。このような厳しい環境の中、日々問題無く食事や会話などの日常生活が可能なのは口腔粘膜のバリア機能が高いことが考えられる。一方、喫煙は代表的なリスクファクターとして知られ、口腔がんの発生率には相関関係がみられる。このことから口腔粘膜への慢性的で継続的な刺激がバリア破綻を引き起こし、口腔がんの発生を誘導している可能性を考えた。そこで、今年度は、口腔上皮細胞のバリア機能について解析を行った。解析方法として経上皮電気抵抗値を測定することで評価を行った。種々の口腔上皮細胞との比較をするため他の組織である腸管上皮細胞においても検討した。当初、口腔上皮細胞の方が高い抵抗値(バリア能)を示すことが予想されたが、予想に反し、腸管上皮細胞の方が高い抵抗値を示した。口腔上皮細胞は重層扁平上皮であるのに対し、腸管上皮細胞は単層上皮であることから、タイトジャンクションなどバリア機能の違いが抵抗値に反映されたと推察される。 好中球細胞外トラップ(NETs)は、近年、がん細胞の増殖・転移の促進に関与していることが明らかとなった。NETsの産生誘導に必要なリガンド刺激を行うため代表的な歯周病原細菌を使用してその産生誘導能を評価した。数種類の歯周病原細菌の中でFusobacterium nucleatumが最もNETs産生が高いことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス対策にともなう、様々な制限がなされたため、当初の計画通りに研究を遂行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画に従って研究を推進していく。口腔上皮細胞のバリア機能、細胞間接着分子の解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により予定通り研究を遂行できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、今年度実施できなかった実験を速やかに実施するため、当初の計画に沿い試薬や抗体、キットの購入に充てる。当初の計画通りに研究を推進していく。
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