2023 Fiscal Year Annual Research Report
NETsを起点とした口腔がん発生機序の解明~口腔細菌とニコチンのクロストーク~
Project/Area Number |
20K10289
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西岡 貴志 東北大学, 歯学研究科, 講師 (50641875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 浩之 東北大学, 歯学研究科, 講師 (70431632)
伊原木 聰一郎 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80549866)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔がん / ニコチン / NETs |
Outline of Annual Research Achievements |
好中球の新たな機能として、好中球細胞外トラップ Neutrophil extracellular traps (NETs)が注目されている。これまで、NETsは、好中球に細菌感染のみならずニコチンの刺激が加わることで誘導されること、NETs産生を起点としてがん細胞の増殖や転移が促進されることなどが報告されている。細菌感染やニコチンによる口腔粘膜上皮バリア破綻、NETsによる炎症誘導を検証し、NETsを起点とした口腔がん発生のメカニズムを明らかにすることを目的としこれまで研究を遂行してきた。今年度は、昨年度から実施してきたヒト前骨髄球性細胞株(HL-60細胞)を5日間のレチノイン酸処理し、好中球に分化させた後、ニコチン刺激後のNETs産生の反応について、SYTOX Greenで染色し蛍光顕微鏡でその発現状態を確認し、ニコチン刺激によるヒストンH3のシトルリン化の解析をWestern Blottingにて行った。NETsは、好中球に細菌感染のみならずニコチンの刺激が加わることで誘導されることが報告されている(J Leukoc Biol. 2016, 100(5):1105-1112)ことから、ニコチンの刺激に加え、口腔細菌の刺激も加わることで相乗的なNETsの発現上昇を予想し実験を行った。しかしながら、ニコチン単独の刺激に加えて歯周病原細菌などの口腔細菌との共刺激による反応については、単独刺激の時と比べて、発現上昇が認められ、共刺激による上昇変化は観察されたものの、両者の間で有意な差を得るまでの結果ではなかった。その一方で、HL-60細胞から分化させた好中球においては刺激に対する反応が弱く差が出にくい可能性もあるように思われた。
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