2022 Fiscal Year Research-status Report
人類学的視野の涵養を目指した外国人患者の事例にもとづくFD・教育手法の開発
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20K10389
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
芦田 ルリ 聖心女子大学, 現代教養学部, 非常勤講師 (10573199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 誠 東京医科大学, 医学部, 准教授 (30585344)
北 素子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80349779)
武田 聡 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90343540)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人類学的視野の涵養 / 外国人患者 / 事例・シミュレーション教育 / ファカルティ・デベロップメント(FD) / 外国人模擬患者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に行ったアンケート調査のデータを分析した。実例には、ヨーロッパ、アフリカ、およびその他の地域からの外国人患者が含まれた。言語の問題は明らかで、通訳者 (人間とアプリケーション) や医療者がコミュニケーションに多大な時間を費やし、時にはフラストレーションを感じて対処していた。患者と医療者間の時間の概念の違いや、患者側の診療体制への理解不足などがお互いの不満や怒りに繋がっていた。同じような状況が日本人の患者にも発生した可能性があるが、患者および医療者双方の文化的信念の違い、それらによる思い込みや偏見が存在したことが示唆された。調査結果は「アジア太平洋医学教育学会」Asia Pacific Medical Education Conferenceで発表する。(コロナ禍で開催が2023年1月から同年5月に延期)
上記の研究結果からもみられたムスリムの事例等を含んだ多文化シナリオを用いて、外国人模擬患者を活用した医療面接実習を聖路加国際大学で行った。また、多文化シナリオを用いた医療面接実習が人類学的視野の涵養とグローバル人材の育成に寄与することに関して宮﨑大学において講演を行った。
米国の大学の教育者への聞き取りを行った。当大学では社会的文化的多様性に対応できる資質・能力を育む多文化教育はカリキュラム全体に統合されており、多文化を学ぶという授業はないとのこと。米国全体に在住する異なる文化の人々、および大学の地域に住む人々の文化への対応が多く組み込まれているとのことであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の異動により研究費を移管したため、手続きや移管先大学での倫理審査承認で活動に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
実例を更に収集するため機縁法で継続している調査データを2022年に行った調査データと共に分析し、教育に有用な問題点を抽出する。また、海外の医学教育学会で発表することによって、グローバル社会では普通に認識されて対応されている文化的差異ながら、国内の医療者には経験のないような事例を研究する。それらの研究結果から教育手法を開発し、医療者に医療人類学FDを行う。外国人模擬患者を活用した実践練習を行い、その効果を検証していく。
国内の学会で研究結果を発表し、教育手法を共有する。
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Causes of Carryover |
コロナが長引いたため、医療機関への聞き取りに行くための旅費や、国内外の学会に参加するための旅費等の支出が少なかった。海外における多文化教育を研究するための渡航費も支出がなかった。
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Research Products
(1 results)