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2021 Fiscal Year Research-status Report

多クローナルなVREの地域流行と院内伝播の拡大を解明するための病原体比較解析

Research Project

Project/Area Number 20K10442
Research InstitutionOsaka Institute of Public Health

Principal Investigator

原田 哲也  地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (70516723)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsバンコマイシン耐性腸球菌 / 線状プラスミド
Outline of Annual Research Achievements

昨年度までに代表株とした、Enterococcus avium 5株、 E. casseliflavus 2株、E. faecalis 1株、E. faecium 56株、E. gallinarum 1株、E. raffinosus 3株について、ショートリードデータを取得した。これらを基に薬剤耐性遺伝子の検出をABRicateにより実施したところ、ほぼ全ての株でバンコマイシン耐性の構造遺伝子群であるvanHAXならびにその調節遺伝子であるvanRSが検出された。また、E. faeciumのほぼ全ての株がアミノグリコシド系およびマクロライド系抗生物質に対する耐性遺伝子を保有し、E. faeciumの73.2%と48.2%がST合剤とテトラサイクリン系抗生物質の耐性遺伝子を保有していることが明らかとなった。
E. faeciumの病原因子として推定されるAcm、 SgrA、EcbAの検出率は、100%、91.1%、41.1%であった。また、MLST解析の結果、ST型が決定されたE. faecium 54株のうちST546とST896の2株を除く52株がclonal complex 17(以下CC17)に属しており、大阪府とその近隣県の医療機関においてはvanA遺伝子を保有するCC17が優勢となっていることが明らかとなった。
日本国内の分離株で近年報告されたvanA遺伝子を保有する線状プラスミドpELF1ならびにpELF2の塩基配列をリファレンスとして、代表株のショートリードデータをマッピングしたところ、pELF1のみと相同性が高い株が3株、pELF2のみと相同性が高い株が60株、いずれとも一致率が低い株が5株であった。これらのデータから、pELF2を保有するE. faeciumが大阪府全域に広がっていることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和3年度は、本研究で決定した代表株について、ショートリードデータを取得することを最優先とした。得られたリードデータから薬剤耐性遺伝子あるいは病原因子のスクリーニングを実施し、グリコペプチド系抗生物質を含む薬剤耐性遺伝子を検出し、さらに接着やバイオフィルム形成に関与する病原遺伝子を決定した。さらに、リファレンス配列へのマッピング解析の結果、代表株の大部分がvanA遺伝子をコードする線上プラスミドを保有している可能性を示した。
接合伝達試験については、filter mating法による実験系の標準化を行うため、我々がこれまでに報告した線状プラスミドpIHVA-Hb35保有株および環状プラスミド保有株ATCC700221を供試株とし、予備実験を実施した。また、新たな58株のvanA保有Enterococcus faeciumについてPFGE解析を実施し、データベースに追加した。
先行してゲノム解析を実施した一部の分離株については、11月に開催された第50回薬剤耐性菌研究会にて学会発表を行なった。
これらの実施状況から、令和3年度に予定していた項目は概ね計画通りに進めることができたと判断した。

Strategy for Future Research Activity

令和4年度は最終年度となるため、代表株のショートリードデータによるゲノム解析完了と接合伝達試験の本試験を優先的に実施する。現在実施しているコア遺伝子の一塩基多型による系統解析を完了するとともに、代表株をドナー株としたfilter mating法による接合伝達試験を実施し、線状プラスミドの伝達効率について環状プラスミドを保有するレファレンス株と比較しする。さらに、S1ヌクレアーゼによるPFGEとvanAプローブを用いたサザンハイブリを実施し、耐性プラスミドのレシピエント株への伝播を証明する。代表株についてバイオフィルム形成試験、アミノグリコシド系、ストレプトグラミン系、オキサゾリジノン系薬剤およびエタノール等の消毒剤に対する感受性試験を実施し、病原性の評価を行う。代表株が保有する線状プラスミドについては、その遺伝子マーカー候補を決定するため、得られたゲノムデータから特異的配列を検索する。さらに、決定した遺伝子マーカー候補を特異的に検出するためのプライマーを設計し、遺伝子検出法の確立を目指す。
研究の進捗状況に応じて、コンプリートゲノム情報が必要となった場合には、ロングリードデータの取得を進める予定である。

Causes of Carryover

物品購入にあたり、不足が生じないように執行したため、次年度使用額23,789円が発生した。これらについては、次年度の物品費として使用する予定で、全ゲノムシーケンス用の試薬あるいはこれに関連する消耗物品を購入する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2021

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 2 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Transmission dynamics of a linear vanA-plasmid during a nosocomial multiclonal outbreak of vancomycin-resistant enterococci in a non-endemic area, Japan2021

    • Author(s)
      Fujiya Yoshihiro、Harada Tetsuya、Sugawara Yo、Akeda Yukihiro、Yasuda Masako、Masumi Ayako、Hayashi Junichi、Tanimura Nobuhiro、Tsujimoto Yoshihiro、Shibata Wataru、Yamaguchi Takahiro、Kawahara Ryuji、Nishi Isao、Hamada Shigeyuki、Tomono Kazunori、Kakeya Hiroshi
    • Journal Title

      Scientific Reports

      Volume: 11 Pages: -

    • DOI

      10.1038/s41598-021-94213-5

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 大阪健康安全基盤研究所におけるバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)検査2021

    • Author(s)
      原田哲也 梅川奈央 河原隆二 川津健太郎
    • Journal Title

      病原微生物検出情報 (IASR)

      Volume: 42 Pages: 158-160

    • Open Access
  • [Presentation] 大阪府におけるVRE感染症の現状と分離株の解析2021

    • Author(s)
      原田哲也、梅川奈央、中村寛海、河原隆二、川津健太郎、久恒順三、沓野祥子、松井真理、鈴木里和、菅井基行
    • Organizer
      第50回薬剤耐性菌研究会
  • [Presentation] バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症 -大阪府の現状と分離株の解析-2021

    • Author(s)
      原田哲也、中村寛海
    • Organizer
      衛生微生物技術協議会第41回研究会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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