2021 Fiscal Year Research-status Report
The determinant of rubella vaccination action among Japanese working population
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20K10467
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀 愛 筑波大学, 医学医療系, 助教 (00530718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 幸恵 筑波大学, システム情報系, 助教 (60580206)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 風疹 / 産業医学 / 職場 / 感染症対策 / 健康診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、勤労世代の風疹ワクチン接種割合の向上に寄与する要因を明らかにすることである。2年目の2021年度は、以下を実施した。 (1)健康診断における風疹抗体検査の実施割合調査:首都圏を拠点に事業所健診を実施している健診機関で調査を実施した。健康診断の受診者で、風疹の第5期定期接種制度の対象者(成人男性約10万人)のうち、2020年度上半期(4月から9月まで)に、定期接種クーポン券を持参して風疹抗体検査を受けた人の割合は、11%であった。研究成果を第94回日本産業衛生学会(オンライン開催)にて発表した。 (2)勤労世代のワクチン接種行動に関連する要因についてのオンライン質問票調査:成人男女の風疹抗体獲得と関連する要因について、英文論文を発表した。共同研究として、JACSIS2021年調査(日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題による 社会・健康格差評価研究)において、風疹の予防接種歴に関して、妊婦とそのパートナーを対象に、オンライン調査を実施した。 (3)ソーシャルネットワークサービス(SNS)における風疹定期接種制度に関する情報拡散:2007年から2021年まで、Twitter上で風疹に関する書き込み(ツイート)を収集し、約220万件の件数の推移と、内容の分析を行った。日本で風疹が流行した、2013年と2018年には、ツイート数にも顕著な増加が見られた。研究成果を第80回日本公衆衛生学会(オンライン開催)にて発表した。 (4)第94回日本産業衛生学会自由集会(オンライン開催)を主催した。「風疹排除に産業保健は貢献できるか:当事者と共に考える」と題し、演者として、感染症専門医、産業医、健診機関、そして先天性風疹症候群患者のご家族を招へいした。職域での風疹流行事例や、先天性風疹症候群患者ご家族の声に学ぶとともに、最新の職域や健診機関での風疹対策をめぐる課題について、議論を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、3つの調査計画が順調に進展しており、2021年度も論文発表と学会発表を行った。さらに、人々の風疹予防接種に対する考え方や行動が、新型コロナウイルス流行の影響を受けた可能性があるため、2021年度には、大規模インターネット調査プロジェクトJACSIS研究との共同研究に発展させることができた。これにより、今後は、社会疫学の研究者と連携して、新型コロナウイルス流行下における風疹の予防行動に関しても、詳細に検討することが期待できる。 2021年度は、風疹の第5期定期接種制度の利用が低迷している現状を受けて、制度の普及啓発活動も積極的に行った。第94回日本産業衛生学会自由集会をオンラインにて開催し、さらに、一般市民向けに研究班ホームページを立ち上げて本研究成果を公開し、風疹予防に関する情報やリーフレット等の発信も行った。 これまで研究代表者らが発信してきたとおり、風疹の第5期定期接種制度の利用が低迷していることから、政府が、2022年度より3年間、同制度の期間延長を決定した。当初の研究計画では、2022年度までの期間限定の定期接種制度であったことから、大きな転換点である。2022年度は、これまでの研究をさらに進展させて、延長期間に、風疹定期接種の利用を更に加速させる要因を、明らかにできる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、2022年度末まで、引き続き3つの調査を継続する。(1)健康診断機関の調査は、定期的にデータを取得し、これまでの調査結果を論文として発表する。(2)人々の風疹予防接種に対する考え方や行動が、新型コロナウイルス流行の影響を受けた可能性がある。そこで、インターネット調査プロジェクトJACSIS研究との共同研究によって、社会疫学の研究者と連携し、学会発表や論文執筆を行う。(3)ソーシャルネットワークサービス分析については、引き続き風疹についてのSNS分析を進展させ、論文発表する。以上、研究成果を学術誌や学会、メディアを介して積極的に発信し、勤労世代の風疹ワクチン接種割合の向上に寄与することを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行の影響で、2021年度は学会が全てオンライン開催となったため、旅費・人件費・謝金・会場代の支出が発生せず、その分を繰り越した。自由集会のオンライン開催にあたっては、所属機関のビデオ会議システムが利用できたため、追加の支出が発生しなかった。 次年度使用計画は以下のとおり。(1)健康診断機関の調査について、引き続きデータを取得し、論文作成する。(2)2021年度オンライン調査の結果を分析し、論文作成する。(3)ソーシャルネットワークサービス分析について論文作成する。(4)第95回日本産業衛生学会自由集会(高知)・ウェブサイト(職域の対策で日本から風疹をなくそうキャンペーン)を介して、研究成果を発信する。
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Remarks |
このサイトでは、多忙な成人男性向けに、職域で風疹予防接種制度を周知する際のツールや、国の方針にしたがって健康診断で無料の風疹抗体検査を推進するにあたり、役立つ情報を集めました。
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Research Products
(6 results)