2020 Fiscal Year Research-status Report
An epidemiological study on the low dose radiation exposure by the terrain shielding at Nagasaki Atomic bombing
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20K10505
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
横田 賢一 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (90754622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三根 眞理子 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 客員教授 (00108292)
高村 昇 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (30295068)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 原爆被爆者 / 入市被爆 / 残留放射線 / 放射線影響 / がん死亡 |
Outline of Annual Research Achievements |
原爆爆発時の瞬時に発生した直接放射線ではなく、爆発後の残留放射線による被曝の長期の健康影響評価を目的としている。対象は、いわゆる入市被爆者と爆発時には被爆地区とされる地域に居たが山蔭などの地形遮蔽により直接放射線を免れたと考えられる者でその後、入市被爆者と同様に爆心地区に立ち入った者(山蔭・入市被爆者)とし、これらについて個人の被爆後の行動記録から、残留放射線への被曝量に相関する立入り地域、時刻と滞在時間をデータ化し、その後のがん死亡をエンドポイントとしてこれらを健康影響のリスクを評価するものである。令和2年度および3年度で対象の抽出とデータ化を行い、4年度以降に解析、検討を行う計画としている。令和2年度に計画した対象抽出は、長崎大学原爆後障害医療研究所の原爆被爆者データベースに登録されている1970年1月1日を追跡開始とした原爆被爆者コホート(固定研究集団)に基づき、被爆者区分(直接、入市、救護、胎児およびその複合)と入市にかかる情報により抽出した。アウトカムとしての死亡原因の情報はすでにデータベースに随時登録されている。被爆後の行動記録には、爆発後の移動した経路や目的、時刻などが記載されており、これらを入力者が読み取りデータ化する。データ入力システムは共有データベースを利用してMicrosoft Accessで独自開発した。データ入力要員の募集は計画どおり行ったが応募がなく、ようやく3月に学生アルバイト1名が確保でき入力を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、計画どおり対象の抽出、データ入力システムを開発し、データ入力を開始した。原爆被爆者コホートから入市被爆10,167人と山蔭・入市被爆者5,047人の計15,214人(行動記録なし379人を含む)を抽出した。このうち、被曝量が比較的高いと考えられる被爆後2日間に爆心から1.5km未満の地域に立ち入った者は5,852人(38.5%)であった。対象は、入市日、爆心からの距離で重み付けを行い、ランダム化し、入力システムで全件の入力が完了しなくても解析できるようデータの入力順序の配置に工夫を行った。行動記録は自記による自由記述であるためデータ化の際の解釈の違いなどが予想され、データ精度を高めるためダブルエントリーを行うこととし、これに対応する入力システムを設計、開発した。入力は、立ち入った地区名、時刻、滞在時間について投下当日から48時間後までは1時間単位、その後は3日後まで半日単位、さらに4日後以降は日付にチェックを入れる方式とした。行動記録に詳細が記載されていない場合は通過(1時間以内)、捜索など(6時間未満)、宿泊など(6時間以上)、不明というように立ち入った目的により入力することとした。当初、今年度のデータ入力は3か月間を計画していたが要員確保ができず1か月間となった。令和2年度末時点の入力済は試験的に先行させた入力を含め約1,000件(進捗割合6.6%)であった。
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Strategy for Future Research Activity |
データ入力作業の進捗に力を入れる。現在の入力速度の平均は1か月あたり約600件(ダブルエントリー)であるので年間で約7200件(47.3%)となる。データ入力は令和3年度までを予定しているため、予算の範囲でできるだけ入力作業を継続する。令和3年4月からさらに要員1名が追加できた。また、他の非常勤職員の協力など、可能な限りの増員を計画したい。併せて、進捗管理を行い確実に進めていく。また、ダブルエントリーによる照合結果から入力の効率化を図ることも検討していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染防止のため、広島大学との研究打ち合わせを見合わせたため今年の旅費を持ち越した。また、入力要員のための人件費についても、計画どおり募集を行ったが適材の応募がなく、令和2年3月から学生アルバイト1名を確保できたのみであった。次年度において引き続き入力要員の人件費として充てる予定である。
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