2022 Fiscal Year Research-status Report
An Epidemiological Study on Organofluorine Compounds and Breast Cancer Risk: International Comparison and Integrated Analysis
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20K10512
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
伊藤 弘明 順天堂大学, 医学部, 助教 (30502257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 基 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 部長 (60392338)
原田 浩二 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80452340)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フッ素化アルキル化合物 / 残留性有機汚染物質 / 環境疫学 / 異性体 / 南米 / PFAS / PFOS / PFOA |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目である令和4年度の研究実績は以下の通りである。 まず、血漿中の有機フッ素化合物(PFAS)の分析の続きを行った。前年度に944検体のうち410検体まで分析を終えていたため、その続きを行い、全検体の測定を終えた。血漿50マイクロリットルを使用し、ガスクロマトグラフィー負化学イオン化質量分析法により有機フッ素化合物を異性体別に分析した。 PFAS濃度測定値をブラジル人女性の乳がん症例対照研究のデータセットに組み込み、検出頻度が高かった物質について解析に着手した。各PFASの血漿中濃度の四分位点で四群に分け、条件付きロジスティック回帰分析により、個人マッチングに基づく粗オッズ比を求めたところ、分岐鎖のないペルフルオロオクタンスルホン酸(n-PFOS)および分岐鎖のないペルフルオロデカン酸(n-PFDA)の血漿中濃度と乳がんリスクの間に有意な負の関連を認めた一方、分岐鎖のあるPFOS異性体(5m-PFOS, 6m-PFOS)および分岐鎖のないペルフルオロオクタン酸(n-PFOA)では乳がんリスクとの間に有意な関連を認めなかった。多変数調整した最終的な解析は令和5年度に行う予定である。なお、日系ブラジル人では非日系ブラジル人よりも血漿中のn-PFOS濃度が高かった。 また、サブテーマとして行った研究で、日本人女性において血清中有機フッ素化合物濃度と末梢血白血球DNAメチル化レベルの関連を検討した論文が国際学術誌に掲載された(Itoh et al. Science of the Total Environment, 2023)。分岐鎖のない異性体では10物質中10物質で白血球DNAメチル化レベルとの間に有意な正の関連を認めた一方、分岐鎖のある異性体では10物質中7物質で有意な関連を認めなかった。 補助事業期間の延長を申請して承認された。一年延長され、4年計画となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始当初、新型コロナウイルス感染症の流行により、緊急事態宣言が発出されるなどして、予定していた通りに動けなかったため、予定が後へずれ込んだ。血漿中有機フッ素化合物濃度の測定においては、どの検体が症例のもので、どの検体が対照のものか、分析者がわからないようにして分析した。症例と対照のペアは同じバッチにて分析した。また、ガスクロマトグラフィーのキャピラリーカラムで異性体を分離して個別に定量した。このような様々な配慮の上で質の良い分析を多検体について丁寧に行ったため時間を要した。また、解析用データセットの作成に予想よりも時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画が多少後ろにずれ込んでいるが、予定していた内容は完遂する予定である。血漿中有機フッ素化合物濃度の測定は終了したため、あとは研究計画に従って、データの解析を行う。慎重に検討を行って、研究結果を取りまとめるとともに、学会・学術誌における公表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により、いくつかの学会の学術総会がオンライン開催となった他、第93回日本衛生学会学術総会が東京開催となったため予定よりも旅費がかからなかったことが理由の一つとして挙げられる。次年度使用額は、今後論文発表に関する費用がかかるため使用する予定である。また、研究効率を上げ、より安全な環境で解析するためにコンピュータを購入することを検討している。
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Research Products
(3 results)