2020 Fiscal Year Research-status Report
人為災害・CBRNE災害に対する労働者のメンタルヘルスの解明とマニュアル開発
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20K10545
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
重村 淳 目白大学, 保健医療学部, 教授 (90286576)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人為災害 / CBRNE災害 / 心的外傷後ストレス障害(PTSD) / メンタルヘルス / 産業衛生 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 2011年の東日本大震災・福島第一原子力発電所(原発)事故後に構築された福島第一・第二原子力発電所員のメンタルヘルス・データベースを用いて、原子力災害が労働者のメンタルヘルスに与える影響の解析を継続した。第59回日本公衆衛生学会総会では、「東日本大震災による事故直後の就業状況が及ぼした福島第一原子力発電所職員のPTSR及び心理的苦悩への影響の4年間の追跡結果」を発表し、最優秀口演賞を受賞した(共同受賞)。英文論文は投稿済で、現在審査中である。 2) チェルノブイリ原発事故、福島第一原発事故がもたらしたメンタルヘルスの影響について論文を執筆した。Shigemura J: Lessons learned from the mental health consequences of the Chernobyl and Fukushima nuclear power plant accidents. (In press), 2021. 3) 過去のCBRNE災害がもたらしたメンタルヘルスへの影響を、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のそれと比較検証し、学術大会で報告した。 ・第116回日本精神神経学会学術総会(2020年9月):重村淳、黒澤美枝:CBRNE 災害としてのCOVID-19。 ・第19回日本トラウマティック・ストレス学会(2020年9月):重村淳、黒澤美枝:COVID-19(新型コロナウイルス感染症)がもたらす心理社会的現象の理解に向けて。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の発生により、研究代表者・研究協力者がその臨床的・管理的な対応に追われ、研究遂行のための時間捻出が極めて困難となっている。 また、COVID-19は本研究課題のテーマである「CBRNE災害」に含まれる。本研究課題の考案時、CBRNE災害後のメンタルヘルス研究はごく限定的であった。しかしCOVD-19のパンデミックが発生し、研究知見が飛躍的に蓄積されてきている。そのため、本研究課題の方向性を若干修正し、COVID-19パンデミックの既知の知見と重複しないテーマを探す必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の当初目的「人為災害・CBRNE災害の発生に備えるべく、職域における災害時の産業精神衛生上の知見を増やし、そのエビデンスを元にしたメンタルヘルスマニュアル・教材等の実用的な資料作成」であった。しかし、COVID-19というCBRNE災害が現実に発生し、その知見が急増している。 よって、本研究課題の結果がこのような知見と重複しないような工夫が求められている。当面はその知見を検証していく。具体的には、COVID-19とCBRNE災害との共通点・差異を抽出し、その要因について報告していく。また、研究代表者・研究協力者がCOVID-19への対応に追われ研究エフォートが減少しているため、成果を下方修正し、現在の感染状況において実行可能なものへと変えていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)パンデミックの影響で、予定していた国際学会・国内学会がすべてオンライン化され、出張も全てなくなった。そのため、旅費を執行する機会が一切なかった。また、COVID-19への臨床的・管理的対応を研究代表者・研究協力者が行っていた関係で、研究計画を大幅に縮小せざるをえなかった。以上より、支出が大幅に減り、残額分を(感染状況次第ではあるが)2021年度以降の旅費などの研究費にあてることを計画している。
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