2022 Fiscal Year Research-status Report
飲水による即時的・持続的血圧上昇を活用した起立性低血圧予防法の開発
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20K10585
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
窪田 聡 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 准教授 (90433614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 豊 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (90194050)
宮崎 裕子 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 講師 (10827801) [Withdrawn]
三輪 洋靖 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (30367073)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 飲水 / 血圧 / 昇圧 / 冷水 / 飲水量 |
Outline of Annual Research Achievements |
200mLと100mLのミネラルウォーターで、温度を変えて飲水時の昇圧反応を測定した。温度は約4℃(以下、冷水)と約37℃(以下、体温水)とした。各実験の順番はランダムとし、日を変えて行った。対象は若年成人女性とし、すべての測定は卵胞期に行った。昇圧反応の測定にはFMS社製非観血連続血圧計Portapresを用い、Modelflow法を用いて、1回拍出量も求めた。室温は約28℃の温熱的中性域となるように調整し、サーカディアンリズムを考慮し、全ての実験は10:30~15:30に実施した。10分間安静としたのち、200mLの水は1分間、100mLの水は30秒間で飲水し、その後30分間のリカバリー期間を置いた。 飲水中、すべての条件で即自的な昇圧がみられた。200mLの冷水が最も高く、200mLの体温水と100mLの冷水は同程度の昇圧が得られた。最も昇圧が低かったのは100mLの体温水であった。100mLの冷水は15mmHg(収縮期)程度の昇圧が得られており、少ない量でも冷水を用いることで昇圧が大きくなることが示された。また、一回拍出量も上昇していた。一方で末梢血管抵抗は全ての条件で低下していた。 少ない水の量では昇圧が小さくなるが、冷却刺激によって昇圧効果を大きくできることが示唆された。急性の低血圧症状に対し、多量の水を用いなくても、即時的な改善を得るための方法を提案できる可能性が考えられる。末梢血管抵抗が低下していたが、これは昇圧に伴う圧受容器反射を介した調整によるものと考えられる。圧受容器反射の感受性が低下した自律神経障害患者や高齢者ではより大きな昇圧が得られることが考えられる。今後は温水での昇圧効果についても検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の影響により、被験者の体調等の厳格な管理を行う必要が生じた。その調整に従来よりも手続きが煩雑となり、時間を要した。また、コロナ感染症者の増加にともない、実験を中断する必要が生じ、実験実施期間に大きな制約が生じてしまった。そのため、円滑な実験遂行が困難となり、研究全体の遂行に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、コロナによる制約は解消されつつある。本研究の遂行の遅れは実験の遂行の遅れが主な原因である。したがって今後は、共同研究者を増やし、円滑な被験者のリクルート、実験準備、実験遂行を図っていく。また、実験後の解析もスピード感をもって取り組むことができるように、共同研究者間で分担しながら、解析を進めていくこととする。これまでの分析で、統計解析時のモデリング方法は定まっている。そのため、これまでよりも迅速に解析処理を遂行できる見通しである。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の感染者数の急増にともない、実験の遂行に大幅な遅れが発生し、予定していた実験を翌年度に持ち越したため、次年度使用額が生じた。
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