2022 Fiscal Year Research-status Report
Historical transition in the self-image of nurses
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20K10591
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
江頭 典江 京都先端科学大学, 健康医療学部, 嘱託講師 (70547463)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 看護過程 / 自己像 / 看護職 / 歴史 / 専門職化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで個人的史料として、「看護過程」の日本への導入に貢献した方のオーラルヒストリーデータの収集に取り組んだ。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、インタビューはオンラインで2名、対面で3名の方に実施させて頂いた。 医学の知識をもつ看護師が幅を利かせていた当時に、医学でない看護とは何かが模索され、看護独自の機能や看護理論家の紹介が盛んに行われたという経緯があった。臨床では、1970年代に「看護計画」をどのように作成すべきか困惑していた看護師が「看護過程」に納得できる回答を見出したという見解も聞くことができた。 これまで収集した個人史料データは、計量テキスト分析ソフトKH Coder(Ver.3)で分析し、4つの学会で報告した。看護過程は、1973年のアメリカ看護協会『Standards of Nursing Practice(看護実践基準)』に示されており、1980年の同『Nursing: A Social Policy Statement(看護:社会政策声明)』という看護職の責任と役割を広く社会に説明する文面にも掲載された。この動向を受け、日本看護協会も1995年に『看護業務基準』を作成し、その中に看護過程が明文化された。ここに至る経緯では、日本においても看護業務検討会(1992年)が立ち上がり、看護師が担っていた事務、ミキシング作業の移管や申し送り、記録様式の再考など看護本来の業務を検討することで、業務分担が積極的に提案されていた。つまり、看護職の専門職化推進のために分業化が図られていたのである。これはAbbottが指摘する組織時代のprofessionの分業化そのものであった。このような外部環境の整備が行われることで、看護は専門職として看護過程による看護職の役割を果たすことが可能になった。同時に、1970年代以降、職能団体の目標の1つであった看護の専門職化は、看護過程という看護アプローチ法の明文化に結実したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで感染症の全国的な影響により、対面でのインタビューデータ収集が計画通り進まなかった。そのため、研究期間を1年延長する申請を行った。今年度は個人的史料データの収集が完了し、分析結果を学会で発表した。今後、看護過程の導入と看護職の自己像の変化の直接的な繋がりを見出すには、看護職の専門職化がどのような形で達成されているかを客観的に証明する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、聞き取り調査が完了したデータを分析し、順次分析内容から得た知見を発表した。 令和5年度は、自己像に関連した先行研究の検討や看護の専門職化について検討を行い、成果を発表する。
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Causes of Carryover |
令和4年度初めまでインタビュー実施がずれ込んだため、成果をまとめる期間が延長した。そのため、追加で必要な文献入手に費用が必要であった。また、令和5年9月に国外学会で発表予定であり、旅費が必要である。これについては、旅費として経費計上していた未使用分を充当する予定である。
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