2022 Fiscal Year Research-status Report
看護補助者の多様性に対応する人材マネジメントシステムのモデル開発
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20K10608
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
林 千冬 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60272267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
グレッグ 美鈴 名桜大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60326105)
益 加代子 大阪公立大学, 看護学研究科, 准教授 (80511922)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 看護補助者 / イングランド / Nursing Associate / 研修プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、コロナ禍の影響で海外渡航が困難だったため、当該年度に予定していた海外調査の前段階として、文献・統計資料の収集と分析を行った。対象はイングランドの看護補助者資格であるNursing Associate(以下NA)である。結果の概略は以下のとおり。 NAは2017年、深刻化する看護師不足への対策の切り札として、イングランドで新たに開始された、“補助者と看護師の中間のような資格”である。NA養成教育とそれに続く看護学教育のプロセスは、看護補助者の能力の段階に応じた養成研修を考える上で参考になると考えたからである。 NAの研修プログラムは、通常2年間で、研修生は少なくとも2,300時間のプログラム時間を修了する必要がある。これは看護師の資格取得に必要な時間の半分に相当する。研修生は、さまざまな環境と状況で働き、さまざまな年齢層の患者に対してできるだけ多くの経験を積まなければならない。プログラムは理論と実践の学習バランスが均等になるように考慮されている。研修生は、勤務先<以外の>場所で、少なくとも2回の実質的な実習(合計675時間)を終えなければならない。 NA訓練を受けるためには、訓練生は介護資格の前提として定められた15の基準を満たす必要がある。英語と数学の「レベル2」(注・中学卒業レベル)の資格を未所持の場合は、プログラム終了前または終了後にこれを取得する必要がある。イングランド保健教育省および教育機関は、これを支援している。訓練と教育の要件は、政府期間であるNursing&Midwifery Councilが定めるNAプログラムの基準で規定されている。 こうしたNAの制度枠組みは、補助者から看護師へとケア従事者としての段階を明確にした直線型の教育コースである。日本では補助者を看護師へという構想は無いが、ケアの能力段階を明確にする上でNAの制度は大変示唆深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年予定であった質問紙調査が未実施である。理由は2点。1点目はこれに先立つ病院ヒヤリングがコロナ禍の影響で未実施のため。2点目は、本研究開始の2020年に、看護補助者については他で全国規模の実態調査が既に実施されたため、これに基づき調査内容を再検討する必要があるためである。2023年度は数カ所の病院の看護管理者にヒヤリングを行い、質問紙調査のデザインを修正する予定である。そのため、質問紙調査は本研究の最終段階で行うよう予定を変更する。 2022年に実施予定であった海外調査もまた、コロナ禍の影響で未実施である。2023年度は文献資料の検討を行い、コロナ禍前後の変化も含めて新たな情報を整理することができた。これに基づき2023年度に現地調査を実施し、具体的な研修プログラム作成に資する情報を収集し整理する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は最終年度であるが、1年延長を前提に以下のように計画を修正している。 2021年に予定していた質問紙調査については、今年度まず数カ所の病院の看護管理者にヒヤリングを行い、質問紙調査のデザインを修正する。そのため、質問紙調査は2024年度に行うよう変更する予定である。 2022年度に予定していた海外調査については、9月にイングランドにおいて、看護協会、政府関係機関、大学の看護補助者教育専門家に面会しインフォーマルなヒヤリングと資料収集を行う予定である。これについては2023年度末までにまとめ、次年度に学会発表と誌上発表を行う。
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Causes of Carryover |
国内の質問紙調査、国内国外のヒアリング調査ともに実査が未実施であるため次年度使用額が生じている。今年度は国内ヒヤリング調査と、イングランドでのヒヤリング調査を実施する。ウクライナ侵攻の影響で欧州への渡航費が高騰しているため、海外調査は1か国のみとし、研究代表者に加え共同研究者のうち1名のみ同行することとする。
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