2023 Fiscal Year Research-status Report
抗菌薬適正使用推進に向けた感染管理看護師の役割モデルの構築
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20K10614
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
川上 和美 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (90638769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
操 華子 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (40209739)
笠原 敬 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50405403)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 感染管理看護師 / 抗菌薬適正使用 / コンピテンシー / 薬剤耐性菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、抗菌薬適正使用支援(AS)におけるICNの役割および役割遂行状況、役割遂行に必要なコンピテンシー、多職種から期待される役割や能力、役割遂行への関連要因を明らかにし、日本の医療機関でのASTにおけるICNの役割モデルを構築することである。調査1の質的研究と調査2の量的研究を組み合わせた探索的順次デザインの混合研究法で行う。 2023年度は調査1の質的研究に取り組んだ。感染対策向上加算1・2医療機関のASTに所属するICN 20名を対象とした。同意を得た協力者へ半構造化インタビューを行い、質的に分析した。ICNは多職種と協働し「組織的なAS体制の構築」に取り組み、その内容にASTの業務整備、専従薬剤師配置の働きかけや業務委譲が挙げられた。「ASに関わる人材育成」として、多職種への教育的な関わりを行っていた。「AS担当薬剤師の支援」では、薬剤師が活動しやすい環境整備を進め、病棟との調整役を担っていた。ASTの実務ではICNが「モニタリング対象患者の状態観察」、「多職種への患者情報の提供」、「薬剤師と協働した医師へのフィードバック」を行っていた。感染症専門医やAS専従薬剤師が不在の施設では、ICNが「モニタリング対象患者の抽出」を行っていた。「医師からのコンサルテーションへの対応」では、薬剤師や外部専門家に相談しながら対応していた。ICNがこれらの役割を担い、ASおよび患者への効果的な感染症治療に寄与できることが示唆された。 さらに、ASに関わる感染症専門医3名、薬剤師4名、臨床検査技師3名を対象に、ASにおいてICNに期待する役割について半構造化インタビューを行った。多職種の意見では、ICNに期待する役割として、「感染症の知識を基盤としたモニタリング対象患者の情報収集と多職種との共有」、病棟看護師等への「適切な培養検体採取の教育」といった教育的役割が挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年5月からCOVID-19が感染症法五類感染症となったことや、医療機関での感染対策体制整備が進んだことから、研究対象者からの協力が得られやすくなった。2023年度は計画通り研究対象者のリクルートを行い、インタビューを完了し、データ分析を進めることができたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、調査2の量的研究に取り組む。調査1のインタビューデータの分析結果を基盤にアンケートを作成し、全国のICNを対象に調査を行う。データを統計学的に分析し、ASにおけるICNの役割遂行状況とコンピテンシー獲得状況を明らかにする。統計学的分析により、ICNの役割遂行状況と背景要因(ICNの属性、施設背景)との関連、コンピテンシーとの関連、ICNによるAS参画の効果を検証する。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染対策として、インタビューはすべてオンラインで行ったため、調査のための旅費が不要となった。また、インタビューの文字起こしの見積りを行い、可能な限り経費削減に努めた。次年度はWebアンケート調査を行う計画であるため、Webアンケート作成や調査の業務委託費、調査システム利用に使用する予定である。
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