2022 Fiscal Year Annual Research Report
慢性の病いにおける「言いづらさ」を包摂する看護理論の事例研究法に基づく実証的研究
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20K10636
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
黒江 ゆり子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (40295712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寳田 穂 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (00321133)
藤澤 まこと 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (70336634)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性の病い / クロニックイルネス / chronic illness / 言いづらさ / クライアント領域 / クライアント・ナース領域 / 実践領域 / 関節リウマチ |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性の病いにおける他者への「言いづらさ」に関する実践領域モデルを基盤とし、関節リウマチ(RA)におけるケアを提供している看護職者の認識、語りを聴く姿勢の実際、語りを聴く時と場の実際、語りの内容を踏まえた看護ケア、実践した看護ケアから生じた事象等を明確化し、そこから「言いづらさ」をふまえた看護の特性と意義を洞察するとともに、慢性の病いにおける実践事例分析のあり方を検討した。 リウマチケア看護師及び慢性の病いに基盤をおく研究者による専門家会議を開催し、グループインタビューによるリウマチケア看護師の実践に関する語りの内容を丁寧に読み取り、クライアント領域、クライアント・ナース領域、及び実践領域に分類し、分析を行なった。 慢性の病いに関する研究者と実践家による専門家会議におけるグループインタビューの分析から、クライアント領域では、自分の病気と折り合いをつけることの大変さ、自分のことを語ることができない、病気に伴う症状に対応することの辛さ等が示され、クライアント・ナース領域ではクライアントの語りをそのまま聴く、クライアントの語りからその人の人生を紐解く、クライアントの言葉の背景にある思いを思索する等、また、実践領域では、初対面でのクライアントへの対応、治療への意思決定への支援、家族からのサポートがない場合の支援等が示された。 実践家はRAとともにある人々の“言いづらさ“に気づき、初対面のかかわりから工夫し、自らの名前を伝え「よく来てくださいました」と話しかけクライアントが語れる環境を創生し、そこから個人的な内容が語られた後は「貴重な内容を聞かせていただきありがとうございます」と感謝を示すこと等が実践されており、「言いづらさ」をふまえた看護実践における重要なあり方が示唆された。
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