2020 Fiscal Year Research-status Report
Examination of the development and effect of an intravenous drip management education program to enhance nursing practice
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20K10676
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
織田 千賀子 藤田医科大学, 保健衛生学部, 講師 (10773525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 小百合 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (30288469)
足立 はるゑ 修文大学, 看護学部, 教授 (20298508)
瀬戸 孝一 藤田医科大学, 産学連携推進センター, 教授 (30777743)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 輸液の管理 / シミュレーション教育 / 観察行動 / 医療安全 / 看護学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、看護基礎教育において医療安全に基づいた輸液管理の技術を習得するための教育プログラムの開発を行うことである。以下が令和2年度の成果である。 1)先行研究の整理を行い、輸液管理のシミュレーション教材(以下、輸液モデル)開発の方針を見極め、「適切に輸液が実施され、輸液刺入部周囲の皮膚が正常な状態」の輸液モデルの作成後、「輸液実施中に生じたトラブルにより輸液刺入部周囲の皮膚が異常な状態に変化する」輸液モデルを作成することとした。2)輸液モデルの開発に向け、現在の教材やこれまで作成した試作品の課題を明らかにした。現在の教材は、吸水量が不十分であった。試作品は、前腕の太さや上肢の動きにより模擬皮膚と模擬血管のずれが生じやすく、静脈内留置のカテーテル部分が折れやすいことが分かった。また、吸水ポリマーの膨張により上肢から外れやすく不安定であった。さらに、輸液滴下はできても、輸液刺入部周囲の皮膚の観察の学習に繋がりにくいことが明らかになった。そこで、膨張しにくい吸水素材や血管の感触に近い模擬血管の素材から刷新した。3)産学連携を活用して企業と共同し、輸液モデルの改良を進め、前腕の太さや体動などに左右されない輸液モデルを作成し、その有用性について確認を行っている。また、輸液刺入部周囲の皮膚が異常な状態として、輸液の漏れた状況や静脈炎の再現を検討している。輸液刺入部周囲の皮膚モデルには、3Dプリンターを用いて模擬皮膚の表面上で輸液の漏れた状況や静脈炎を再現する計画していた。研究計画の変更(追加)として、リアリティを高めるために、模擬皮膚内部から発赤や腫れなどが生じる仕組みを検討している。4)看護基礎教育における輸液管理技術習得における困難と問題点を明確にするためのWeb調査に向けて、質問項目(教授方法、教育上の困難、教材への期待など)の精選を行い予備調査の準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
輸液管理の技術における教育状の困難の予備調査として、看護基礎教育施設約10校に依頼し同意が得られた学校の教員を対象にwebにて調査を実施し、質問の妥当性と信頼性の検証を行う予定であったが、未実施となった。その理由は、質問内容の再検討と質問の妥当性と信頼性を高めるために看護基礎教育施設の加増の検討に時間を要した。また、covid-19の影響により、学内実習や臨地実習の方策に追われる中で調査協力を得ることは困難と判断して、時期を1年遅らせることとした。今年度実施していく。 輸液モデルの開発については、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の実施計画 1)令和2年度に予定していた輸液管理の技術における教育上の困難について、研究協力を依頼し承諾の得られた看護基礎教育機関20校にWeb上で予備調査を行う。質問内容の変更点は、輸液管理に伴う学内演習の教授方法として必要な項目を精選し、①講義・演習・実習での工夫、使用教材、学習内容である。②技術習得に関する認識では、教育上の困難と課題、輸液管理の教材への要望、演習と臨地実習での輸液管理技術の経験状況について調査する。分析方法:①単純集計を行い、教授方法と技術習得の関係について相関係数、t検定、一元配置分散分析など行う。②自由記載については、スーパーバイザーと共にカテゴリ化し、内容を忠実に反映したカテゴリ名を付ける。予備調査で得られた意見をふまえ、全国の看護基礎教育機関500校を無作為抽出しWeb上で本調査を行う(交付申請書どおり)。結果を基に、輸液管理における教育プログラムを考案する。 2)研究協力を依頼し承諾の得られた教員と学生を対象に、試作版の有用性を確認後、学内で模擬患者への看護援助を実施して教材としての評価を行う。①教員:輸液モデルの装着時の感触、保水量、利便性、安全性、援助実施に想定される不具合など有用性を確認し、課題があれば改良する。②学生:点滴静脈内注射を受けている学生による模擬患者の寝衣交換と離床の2つの援助を行ってもらい、輸液モデルを評価する。評価方法:無記名自己式アンケート調査を行う。調査内容:刺入部周囲の再現性の有無、利便性、学習効果の有無(観察の視点、期待できる学習効果、学習ニード)である(交付申請どおり)。分析:①単純集計を行い、従来の教材と輸液モデルの比較について相関係数、t検定など行う。リアリティについて因子分析を行い、信頼性係数αを算出する。②自由記述についてはスーパーバイザーと共にカテゴリ化する。分析結果より改善点を明確にする。
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Causes of Carryover |
産学連携を活用することができ、業者がもつ3DCADソフトおよび3Dプリンタで輸液モデルの作成を依頼したことで、3Dプリンタ、3DCADソフトの購入は必要なくなった。しかし、製作費が必要である。令和2年は、試作版の作成を行い、令和3年に改良版を制作していただくため、その費用を令和3年度に計上する。 輸液モデルの開発費として必要な経費を、400,503円を計上する。
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