2020 Fiscal Year Research-status Report
がん化学療法患者の離職予防に向けた就労関連スティグマ低減の双方向支援ツールの開発
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20K10791
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Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
木村 安貴 名桜大学, 健康科学部, 准教授 (90812917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
照屋 典子 琉球大学, 医学部, 教授 (10253957)
本村 純 名桜大学, 健康科学部, 准教授 (50632999)
砂川 昌範 名桜大学, 健康科学部, 教授 (70325835)
玉井 なおみ 名桜大学, 健康科学部, 教授 (80326511)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん / 化学療法 / スティグマ / 就労 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、化学療法を受けるがん患者の就労関連スティグマを低減するための双方向支援ツールを開発し、化学療法を受けるがん就労者が治療を受けながらも働けるためのがん就労者と職場の協働者の双方の対処方法について検討する。 令和2年度は、化学療法を受けるがん患者の就労関連スティグマの様相について文献検討を行った。就労関連スティグマに関する記述を抽出し、質的帰納的分析を行った結果、社会的スティグマは【病気や治療の無理解】【がん=死という偏見】【不本意な退職・就労形態の変更】など7カテゴリーが抽出された。また、内的スティグマは【周囲に迷惑をかけることに対する気兼ね】【外見の変化が仕事に支障をきたす恐れ】【役割が果たせない可能性に対する懸念】など6カテゴリーが抽出された。 次に、外来化学療法を受けるがん患者を対象に、就労継続に関する困難(スティグマに焦点を当てて)についてインタビュー調査を実施した。15名から回答が得られ、質的帰納的に分析した結果、就労継続上で認識したスティグマに関連した困難は、社会的スティグマとして協働者や家族の【病気や治療の無理解】が得られないため【過剰な気遣い】やもっと働けるのに【不十分な就労能力の評価】により【役割が得られない】ことに困難を抱いていた。一方、内的スティグマは【迷惑をかけたくない】、上司には相談できるが後輩に相談できず、【弱っている自分を見せたくない】ため、十分な支援が得られない現状が明らかになった。 以上のことより、化学療法を受けているがん患者の就労関連スティグマは、社会的スティグマとして協働者のがんや治療に対するリテラシーの不足が関連し、また、内的スティグマとして迷惑をかけてしまうなどの自己肯定感の低さが関連することで就労継続の困難を生じていることが明らかとなった。これら結果より、就労関連スティグマ低減に向けたアプローチの方向性が明瞭となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、化学療法を受けているがん就労者の就労関連スティグマについてインタビュー調査を完了する予定であったが、COVID-19感染症流行拡大に伴い、病院での調査を延期することとなった。データ分析の結果、まだデータの飽和化には至っておらず、調査の継続が必要であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に実施した研究の論文投稿を行う。次に、令和3年度にCOVID-19感染症流行症拡大が落ち着き次第、中断した化学療法を受けている就労患者の就労関連スティグマについてのインタビュー調査を継続する。また、感染症流行の動向の見通しがたたないため、感染症流行拡大の影響を受けない研究を先に進める。がん就労者に対する協働者の両立支援の現状と課題について、文献レビューを行い、その結果を基づき、協働者の支援の現状と困難(スティグマに焦点を当てた)に関する質問紙調査を作成し、企業規模、業種の異なる企業に郵送法でプレテスト実施する。因子分析を行い、質問項目の精錬を行う。この結果を基に質問紙調査を実施し、がん就労者に対する協働者の両立支援の実態と内在するがん就労者に関するスティグマの認識を明らかにする。
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Research Products
(1 results)