2021 Fiscal Year Research-status Report
学童期にある発達障害児の家族の家族ストレングスを促進するケアプログラムの開発
Project/Area Number |
20K10891
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
源田 美香 高知県立大学, 看護学部, 助教 (60849826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長戸 和子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (30210107)
杉原 俊二 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (50259644)
藤代 知美 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (60282464)
有田 直子 高知県立大学, 看護学部, 講師 (70294238)
中井 美喜子 高知県立大学, 看護学部, 助教 (80827634)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 家族ストレングス / 発達障がい / 学童期の子どもとその家族 / ケアプログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学童期にある発達障がい児とその家族と、看護者の双方が捉える家族ストレングスを促進する具体的な援助行動を示した実用性のあるケアプログラムの開発を目指している。 2021年度は、「研究目標1:学童期にある発達障がい児とその家族の家族ストレングスを明らかにする」ことに向けて、研究協力者6家族より学童期にある発達障がい児とその家族の家族ストレングスについて、インタビュー調査で得た内容の分析を行った。分析過程において、家族ストレングスとして語られた内容に忠実に分析を行うため、先行研究のレヴューや分析方法の工夫を重ねた。 学童期にある発達障がい児とその家族の家族ストレングスは、子どもの能力や、着実な成長を捉えながら、子どもの特性と共に生きていく心構えをもち、家族員の個性を尊重し合える心の拠り所として家族が位置している。このような家族の存在のもと、発達障がいへの考え方や子どもが受ける教育について世間の固定観念に留まらず、家族で状況に応じて見方の転換を図り、それを家族らしさとして捉えている。そして、子どもの自立に向けて、子どもに合う教育方法や就学先を早い段階から検討するなど、家族外の信頼できる人からの支援を受け入れるとともに、同じ境遇にある他の家族を支援する側にも回るという家族内と家族外との循環的な交流をもっている。また、子どもの行動に対する周囲からの誤解や、学校生活への不適応を回避するために、家族で子どもの生活スキルの向上を図ること、家族自ら周囲の反応の理解に努め家族外と協調していく資質と捉えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、研究目標①では、学童期にある発達障がい児の家族ストレングスを明らかにする。その結果をもとに、研究目標②では、看護者が捉える学童期にある発達障がい児の家族ストレングスを促進するケアを特定する。さらに、研究目標③では、家族が捉える家族ストレングスが促進されたケアを特定する。そして、研究目標④では、看護者と家族の双方から見出されたケアを分析してケアプログラム案を作成する。最終段階として、研究目標⑤では、ケアプログラム案の実用可能性、有用性について家族看護のエキスパートナースから意見聴取して洗練化する。 現在、研究目標①では、学童期にある発達障がい児の家族ストレングスについて分析結果の洗練化を行っている。2021年度も新型コロナウイルス感染症の感染拡大をうけて、研究協力候補者への依頼手続きを進めることができない期間があり、研究協力者数を増やすことが難しかった。そのため、先行研究の知見等も活用して分析を行っている。そして、研究目標①の分析結果をもとに、研究目標②では、学童期にある発達障がい児とその家族の家族ストレングスを促進するケアを特定するためのインタビューガイドを洗練化している。また、所属施設の倫理審査を受審した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、研究目標①について、先行文献の知見も含めて分析の洗練化を行う。並行して研究目標②について、発達外来をもつ病院、看護系大学を修了した養護教諭が所属する小学校などの施設に勤務する看護者または養護教諭にアクセスして10名程度の研究協力者にインタビュー調査を行う。新型コロナウイルス感染症の感染拡大をうけて、研究協力候補者への依頼手続きが進まない場合は、データ数を5名程度に減じて先行研究の知見を活用して、研究目標②の達成を目指す。 2023年度は、研究目標③について、10家族程度の学童期にある発達障がい児の家族に家族ストレングスが促進されたケアについてインタビュー調査を行い、看護者と家族が捉える家族ストレングスを促進するケアを特定する。そして、研究目標④について、研究者間で検討して、家族ストレングスを促進するケアプログラム案を作成する。その上で、研究目標⑤について、家族看護のエキスパートナース10名程度にグループインタビュー調査を行いケアプログラムの洗練化を図る。
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Causes of Carryover |
2021年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、公務の看護実習における新型コロナウイルス感染症予防対策のため、実習期間前より実習終了後の一定期間において、他者との接触を最小限に抑えることが必要であった。そのため、依頼手続きを進めることができない期間が長期的に発生し、インタビュー調査件数が少なかったこと、研究協力者がweb会議システムを用いてインタビュー調査を希望されたため、旅費が不要となった。 2022年度は、引き続きインタビュー調査を行うため、逐語録の作成のための人件費、研究協力者数、またはデータ収集状況によっては、依頼地域の拡大が必要となるため、旅費や謝金等の増額が予測される。また、先行研究の知見も活用して分析を進めていくため、書籍や文献複写費が必要である。
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