2020 Fiscal Year Research-status Report
新たな孫を迎える祖父母の家族役割機能を高める学習プログラム開発
Project/Area Number |
20K10896
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
礒山 あけみ 上智大学, 総合人間科学部, 准教授 (00586183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
衣川 さえ子 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (90538927)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 祖父母 / 家族役割機能 / 学習プログラム / 介入研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新たな孫を迎える祖父母の家族役割機能を高める学習プログラムを開発することである。これまで新たな孫を迎える母親の支援者として捉えられていた祖父母を主体者とした家族役割機能を高める学習プログラムを実施し、参加した祖父母を介入群、参加しない祖父母を対照群として設定した2群間を比較する実験デザインである。 計画している具体的な研究項目は以下の3点である。 1)新たな孫を迎える祖父母の家族役割機能を明確化する。 2)明確化した祖父母の家族役割機能を学習内容とし、新たな孫を迎える祖父母に対する学習プログラムを開発する。 3)開発した学習プログラムを介入とし,対照群と比較して祖父母の家族役割機能が高まるかを検証する。 祖父母の家族役割機能とは、孫育児や実娘嫁、息子婿との関係を築きながら自らの仕事や生きがい実践とバランスをとり、家族の健康を維持向上することを指す。新たな児が誕生する家族において祖父母は育児の支援者としての役割が期待されている。祖父母が孫育児に関与することで祖父母自身のQOLを高めることや、母親の産後の身体回復や育児不安の解消、育児技術の伝承がなされるメリットが報告されている。他方、祖父母がフルタイムで孫の面倒をみる主たる育児者となることによる祖父母自身の身体的、精神的な健康への影響が問題となっている。祖父母の生き方として育児の支援者の役割に留まらず、趣味を楽しみ、第2の人生を謳歌するなど、祖父母の役割に縛られない自由な過ごし方も求められている。本研究では、新たに孫を迎える祖父母を主体として捉え、家族役割機能を高める学習プログラムを開発することで、祖父母の孫育てが家族間の豊かな体験となり祖父母の精神的健康につながり、生き生きとした人生を送る社会の実現および、母親の育児不安や妊産婦うつ、乳幼児虐待に歯止めをかけ、健やかな子どもたちを育む社会の実現を可能にする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度の計画は1)新たな孫を迎える祖父母の家族役割機能を明確化し、2)祖父母の家族役割機能を学習内容とし、新たな孫を迎える祖父母に対する学習プログラムを開発することである。 新たに孫を迎える祖父母(初産婦の娘・嫁を持つ)10組に対してインタビューを行い、祖父母の家族役割機能を明確する計画であったが、COVID-19の影響で、インタビューの計画が順調に進まなかった。再度祖父母の家族役割機能を明確化する方法を検討し、アンケート調査法においても明確化できることから、急遽インターネットでのアンケート調査の計画に変更した。まず、祖父母の家族機能の発揮が祖父母自身の健康感や生きがいに及ぼす影響の概念図を検討し、アンケート項目を検討した。現在47都道府県の孫をもつ40代から80代の男女にインターネット調査の実施のための準備段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、祖父母の家族機能の発揮が祖父母自身の健康感や生きがいに及ぼす影響について現在47都道府県の孫をもつ40代から80代の男女にインターネット調査の実施のための準備段階である。その後、孫を持つ男女を対象に半構造化インタビューを行い、さらに祖父母の家族機能を明確化する予定である。また、祖父母の家族機能が親世代にどのように影響しているかについてもアンケート調査を行う計画をしている。これらの結果から、新たな孫を迎える祖父母の家族役割機能を高める学習プログラムを開発する計画である。具体的には①学習プログラムの目的・目標の設定およびログラム内容・方法の検討、②用いる教材および媒体の検討、③プログラム効果を測定する用具の検討を行い、プログラムの効果を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究では、対象者へのインタビュー謝礼および学習プログラムで用いるアプリケーションソフトを作製する予定である。そのため費用を計上したが、COVID-19の影響によりアンケート調査に終わり、インタビューの延期、ソフト開発に至らなかった。研究代表者と分担者及び研究協力をいただく助産学・教育学・高齢者福祉の専門家と入念な打ち合わせが必要であるため、旅費を計上したが、COVID-19の影響でオンライン会議の開催であったことから使用額が大幅に異なった。次年度は、アンケート調査およびインタビューを行い、アプリ開発することからその費用に利用する予定である。
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