2020 Fiscal Year Research-status Report
出生前検査を検討する妊婦への遠隔遺伝カウンセリング:テレジェネティクスの実践評価
Project/Area Number |
20K10922
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
深野 智華 (阪本智華) 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 遺伝カウンセラー(非常勤) (00405367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 美紀子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (30434187)
山中 美智子 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 医長 (50240057)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テレジェネティクス / 遠隔遺伝カウンセリング / 出生前検査 / 実践評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、情報通信機器を用いて遠隔にいる人への遺伝カウンセリング(以下GC)が有用であるかどうかについて、遠隔遺伝カウンセリング(以下テレジェネティクス)の実践評価を行うことである。今年度は看護学生を研究対象者として、質問紙やインタビュー調査を行い、テレジェネティクスの実践について評価した。 出生前検査に関するGCについて、A大学の看護学生20名を対象に、情報通信機器を用いて遠隔GCを受ける群(遠隔GC群)と、直接対面でGCを受ける群(対面GC群)に非ランダムに割り付け、アウトカムについてGC前後で量的に測定した。アウトカムは出生前検査に関する知識、理解等10項目とした。その結果、両群の平均年齢、GC前後の知識を問う質問紙の点数に有意差は認めなかった。また、両群ともにGC後に質問紙の正解数が有意に増加していた。 GCの満足度や医療者の対応等について、GC後にインタビューを行った。インタビューでは両群ともに、「出生前検査の詳細が分かった」「聞きたいことが聞けた」「会話に不都合は感じなかった」と答えていた。一方、遠隔GC群からは、「画面上に表や図などがあって分かりやすいが、講義を受けているような気になった」「話し手の表情が見えたらもっとよかった」などの声もあった。 テレジェネティクスと対面のGC実践を比べた結果、知識や理解の習得に有意差はなく、テレジェティクスの活用の可能性が示唆された。一方で、テレジェネティクスでは対面GCでは聞かれなかった意見もあり、対話をどのように展開するのかについての今後の課題も見えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書では、2020年度と2021年度にかけて、看護学生20名を対象とした調査を実施する予定としており、2020年度中に調査を遂行することができた。この結果、テレジェネティクス実践のためのシステム整備や、テレジェネティクス実践の活用の検討が可能となった。 一方で、英国もしくは豪州を対象に、テレジェネティクス実践に関する状況把握や情報共有のために施設訪問を予定していたが、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大により実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標は、妊婦を対象とした出生前検査に関するテレジェネティクス実践を評価することである。今年度の調査で得られた成果をもとに、次年度から2023年度にかけて出生前検査を検討している妊婦を対象に調査を行っていくこととし、今後は以下のように研究を推進する予定である。 1.本年度の調査で得られた結果から、円滑なテレジェネティクス実践のためのシステム整備の見直しや、質問紙およびインタビュー調査の内容を更新する。 2.出生前検査を検討している妊婦を対象に調査を開始する。 3.英国もしくは豪州のテレジェネティクス実践に関する状況把握や情報共有については、今後の世界の感染状況に応じて、視察ではなく質問紙による調査など別の方法も視野に入れ検討する。
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Causes of Carryover |
研究初年度に、英国もしくは豪州を対象に、テレジェネティクス実践に関する状況把握や情報共有のために施設訪問を予定していたが、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大により実施できなかった。その渡航費が次年度に繰り越しとなった。 今後の世界の感染状況に応じて2022年度までに施設訪問が可能であるかを検討し、視察可能な場合は、当初の計画通り渡航費として使用する。視察困難な場合は別の調査方法を検討する予定であり、その場合は調査費用として使用する。
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