2022 Fiscal Year Annual Research Report
生体肝移植を受けた子どもの心理・社会的フォローアップケアガイドラインの開発
Project/Area Number |
20K10944
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
田之頭 恵里 高知県立大学, 看護学部, 助教 (90758905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池添 志乃 高知県立大学, 看護学部, 教授 (20347652)
中野 綾美 高知県立大学, 看護学部, 教授 (90172361)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生体肝移植 / 心理・社会的課題 / フォローアップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生体肝移植を受けた子どもの心理的・社会的フォローアップケアガイドラインを開発することであった。 研究初年度から新型コロナウイルス感染症の影響により、病院施設や患者会ならびに家族会を通じて、対象となる子どもや医師、看護師をはじめとする多職種に研究依頼を行うことが困難であった。そのため、オンライン会議システムを活用した研究依頼やインタビュー調査に変更するなど、コロナ禍でも研究が遂行できる研究方法を検討したが、難しい状況は変わらずデータ収集に取り組むことができなかった。 フェーズ2「小児期に生体肝移植を受け成人期に移行する子どもの心理・社会的課題をふまえた看護を明らかにする」、フェーズ3「小児期に生体肝移植を受け成人期に移行する子どもの心理・社会的課題をふまえた多職種でのフォローアップの内容を明らかにする」について文献を整理し、心理的・社会的課題の抽出ならびにフォローアップ体制の現状と課題の抽出に取り組んだ。国内では、生体肝移植を受けた子どもの心理的・社会的課題へのフォローアップに焦点をあてた研究はほとんど見あたらなかった。医師を中心とした国内の研究は、QOLの視点から入院頻度や学校生活との関連を調査したものが多く、移植後の日常生活は問題ないとするものもある一方、合併症や服薬アドヒアランスに関連した身体面の課題が、子どもの日常生活や学校生活における心理・社会的側面に影響することを示す結果もあった。また、看護師や心理士による質的研究や調査研究の結果からは、移植を受けた自己を引き受けていく過程での自己概念および他者との関係のなかでの心理的・社会的課題に加え、脳死下での肝移植が大半を占める海外とは異なり、9割以上が親をドナーとする移植であることなどを背景に、ドナーである親との関係から派生する家族関係の課題といった日本特有の課題に対する支援の必要性が示唆された。
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