2022 Fiscal Year Research-status Report
ペアレント・メンター等の地域資源と連携した発達障害児の家族支援プログラムの開発
Project/Area Number |
20K10958
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
西嶋 真理子 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (50403803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
達川 まどか 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (20849690) [Withdrawn]
柴 珠実 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (60382397)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トリプルP / 子育て支援 / ペアレントトレーニング / ペアレントメンター / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
市町村の包括的な母子保健活動として、ペアレント・メンターや保育・福祉部門と連携した発達障害児の家族支援プログラムを開発し検証することが本研究の目的である。当該年度は、昨年度に発達支援担当者にインタビュー調査を行った市町村の中から、モデル市町村を選び、母子保健・子育て支援、障害福祉、子育て支援拠点の担当者による継続的なケア会議と家族支援プログラムを実施し、プログラム導入前後の変化の評価を行った。家族支援プログラムは、いずれも対面で、特定トリプルP(前向き子育ての力)、グループトリプルP(8回コース)とフォローアップとして特定トリプルP(自信と能力のある子どもを育てる)、ペアレントメンターカフェ(2回)の実施からなる。ほぼすべてを参加した4名のうち、子どもの難しい行動が開始前に複数の領域で臨床範囲または境界域であった2名はプログラム開始後に改善傾向が見られ、3か月後も改善が保持できた。保健師や子育て支援拠点の担当者とともに、タイミングよく対象者へ働きかけ、参加を促し、きめ細かくフォローアップすることで、リスクのある家族に対して早期から包括的に介入でき、その評価を行うことができた。この結果は今後、学会等で発表予定である。 また、初年度に自治体の母子保健担当保健師に行った3歳児健診において、発達障害を念頭に置いた継続支援の実際について質的分析を追加し、継続支援の目標は、「母親が困り感に対処できる」、「支援機関に見守り・受け入れる体制がある」に分類され、支援姿勢として、「母親の心情の変動に着目」、「適時支援を重視」が見出され、公衆衛生看護学会において発表した。昨年度に実施した自治体の発達支援担当者へのインタビューデータの分析については論文の執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に計画していた内容を概ね実施することができた。ただ、2020年度と2021年度はCOVID-19の影響を受け、対面での会議や介入に代えて、リモートによる会議や介入となったため、当初の計画を一部変更して実施することになった。リモートによるトリプルPの介入については、本邦でも初めての試みであり、現在、海外の学術雑誌に投稿中である。昨年度に行った発達支援担当者へのインタビューデータの分析や当該年度に行ったモデル市町村への介入結果の分析については、引き続き実施していき、学会等に発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究結果を踏まえて、市町村の包括的な母子保健福祉活動として、メンターや保育・福祉部門等と連携した組織横断的な虐待予防のための家族支援プログラムの開発を行うとともに、支援が届きにくいハイリスク家庭を含めた児童虐待の予防や親子の特性に配慮した実効性のある家族支援が可能かを検証する研究につなげていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
現在、学術雑誌に論文を投稿中であり、海外の研究者による査読に時間を要している。次年度中には論文が受理され、投稿料等の支出により、支出が完遂する予定である。
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Research Products
(1 results)