2020 Fiscal Year Research-status Report
認知症の人と家族に対する外来看護師による診断後支援モデルの検討
Project/Area Number |
20K10960
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
木島 輝美 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (40363709)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 裕子 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (40336409)
奥宮 暁子 三育学院大学, 看護学研究科, 教授 (20152431)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 認知症 / 外来看護 / 診断後支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国の認知症施策では認知症の早期診断・早期対応が推奨されているが、認知症の診断を受けてから介護サービス等を利用するまでの診断後支援が未整備である。認知症の人と家族は、診断後速やかに認知症の状態に応じた専門機関の支援につながるシステムの構築を政府に要望している。また診断後支援を担う専門職については、スコットランドで制度化されているリンクワーカーの役割をわが国でどの専門職が担うべきか様々な議論がある。そのなかで外来看護師は診断直後から継続的に本人と家族に支援できる立場にあり、診断後支援の役割を担うことが期待される。 そこで本研究の目的は、①認知症の人と家族が認知症の診断を受けてから介護サービス等を利用するまでの期間に求める診断後支援を明らかにすること。②認知症専門外来に勤務する看護師による診断後支援モデルを作成してその実用性を検討することである。 令和2年度は、研究目的①のなかでも認知症の人の家族を対象とした調査を実施した。現在までに8名の対象者にインタビューを実施した。対象者は認知症の診断を受けてから3年前後の者であり、認知症診断前後から介護サービスにつながるまでの経験について振り返って語ってもらった。多くの対象者は認知症の診断を受けた当時の衝撃と不安のなかで、専門職から的確な支援を得られずに、手探りで情報収集をし、やっとの思いで支援制度や介護サービスにつながることができたという現状があった。その時の様々な専門職との関わりの中で感じたことや要望について語ってくれた。今後も分析をすすめ、認知症の診断後間もない本人と家族が必要とする支援を抽出していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度はcovid-19の影響により対人接触が制限されたため、インタビュー対象者を得ることが困難であり予定人数よりも少ない状況である。 対象者の多くは高齢であるためビデオ会議システム等を利用するこも難しいため、covid-19の新規感染者が減少傾向となるまでデータ収集ができなかった。加えて、全国の広い範囲から対象者を得る予定であったが、都道府県間の移動が困難であっため実施できなかったことが理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は前年度に引き続き、研究目的①認知症の人と家族が認知症の診断を受けてから介護サービス等を利用するまでの期間に求める診断後支援を明らかにする。令和2年度から継続している認知症の人の家族へのインタビュー調査は、データ分析をすすめていく。 一方で、認知症の人と家族への診断後支援に関わる専門職を対象とした調査にも着手する予定である。専門職への調査は当初対面でのインタビューを計画していたが、covid-19の感染状況に応じてビデオ会議システムなどを積極的に活用して、対人接触を最小限にしながらも有効なデータ収集方法を検討していく。 令和4年度以降は、研究目的②認知症専門外来に勤務する看護師による診断後支援モデルを作成してその実用性を検討するため、研究目的①の結果にもとづき診断後支援に必要な項目を抽出し、そこに国内外の関連文献からも項目を追加して外来看護師による診断後支援モデル案を作成する。 モデル案を認知症看護のエキスパートパネル(老人看護専門看護師、認知症看護認定看護師など)に外来看護師の役割としての「妥当性・重要性・実施可能性」の視点から評価してもらい、その結果にもとづき項目を修正し精錬する。 精錬した診断後支援モデルについて全国の認知症専門外来に勤務する看護師(1,000名程度)を対象に調査して実用性を確認する。
|
Causes of Carryover |
令和2年度はcovid-19の影響により、都道府県間を移動するデータ収集が困難であったこと、研究分担者と対面での研究会議の開催が困難であったこと、各種学会が中止またはオンライン開催となったことから旅費の支出が減少した。またcovid-19の影響により研究全体の進捗に遅れが生じたため、データ整理等の人件費やその他の支出が減少した。 令和3年度前半には、令和2年度末に収集したインタビューデータの逐語録作成およびデータ分析をするため、テープ起こし等の作業を依頼するための人件費を使用する。その際、情報漏えい防止のためデータ分析専用パーソナルコンピュータを購入して分析をすすめる。また並行して、専門職を対象としたインタビューを実施するため、研究協力者への謝礼のための支出、テープ起こし等の作業を依頼するための人件費を使用する。 令和3年度後半には、診断後支援モデル案を認知症看護のエキスパートパネルに確認してもらう際の謝礼や旅費を予定している。 また研究の各段階で結果をまとめ、関係学会で発表するための旅費及び学会参加費を予定している。
|