2020 Fiscal Year Research-status Report
進行した若年性認知症者と家族の意思決定支援モデルの開発
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20K10974
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
梅崎 かおり 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (60737005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糸井 和佳 帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (30453658)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 若年性アルツハイマー型認知症者 / 意思決定 / 髄液検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年性アルツハイマー型認知症者(以下若年性AD者とする)の意思決定について明確化するために国内外の文献をレビューした。MEDLINE、CINAHL、psycINFO、医中誌webを使用して検索を行ったが、若年性AD者の意思決定に関する文献はなかった。そのため若年性AD者本人の体験や思いを中心にレビューした。以下レビューの結果を示す。 ADは高齢者が罹患する疾患であるとのイメージが強く、壮年期に診断される衝撃は大きい。実際、若年でADと診断された人は診断によりライフサイクルの崩壊やアイデンティティを脅かさせるような感情を抱いていた。加えて診断の意味を理解することや、喪失感にどのように適応し、対処しなければならないかなどの体験もしていた。このように診断による心理的動揺が大きいことは明らかであり、この心理的動揺は意思決定の動揺にも大きな影響を及ぼすと考える。また、若年性AD者は、何らかの症状が出現しても、普段通りの生活を送りたい、あるいは起こりうる症状を認知症のせいにしたくない(年齢により認知症を除外する気持ち)という理由で、初期の前駆症状を無視しようとする場合があり、このような回避行動が、受診や診断の遅れにつながっている可能性があること、また診断後の情報の質の低さにも不満を抱いていることがわかった。さらに若年性AD者は症状出現や診断、診断されたことの影響を受けるというプロセスを経ながら、認知症と診断された後は尊厳を守るための心理的・社会的課題との戦いを体験していることがわかった。 これらのレビューの結果を踏まえ、今後、若年性アルツハイマー型認知症者にインタビュー調査を行うため、対象施設となる大学病院で物忘れ外来の診察を行っている医師より、若年性AD者の現状(受診者数や検査数、対象となりうる患者数など)についてレクチャーを受けた。 。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大により、遠方や医療機関へ出向いて直接研究協力依頼を行うことが難しい状況であった。そのため文献レビューを中心に研究を進めていた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後大学病院の物忘れ外来を受診している若年性アルツハイマー型認知症者とその家族に意思決定に関するインタビュー調査を行い、分析していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究対象施設との調整やインタビュー調査が新型コロナ感染拡大の影響で延期となっており、次年度に継続して行う予定である。次年度使用額はこの際の交通費やインタビュー経費として使用する。
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