2020 Fiscal Year Research-status Report
意思疎通不可能な高齢者に対する看護師の終末期ケア態度尺度の開発
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20K10980
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
谷口 由佳 関西国際大学, 保健医療学部, 准教授 (80530310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼本 教子 関西国際大学, 保健医療学部, 教授 (00198558)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 尺度開発 / 意思疎通不可能 / 高齢者ケア / エンドオブライフケア / 終末期ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2(2021)年度は、尺度原案の作成に取り組んだ。第1段階として、文献検討を通し、尺度の構成概念(測定対象)とその定義、測定の意義を明らかにした。尺度の構成概念は、「意思疎通不可能な高齢者に対する看護師の終末期ケア態度」であり、意思疎通不可能な高齢者の終末期ケアは「意思疎通不可能な高齢者のその人らしさの追求、および本人や家族が満足できる最期の保障等、その人らしい最期の実現可能性を高めるケア」とし、態度は「認知や感情、行動」と定義した。第2段階では、研究者らの先行研究の蓄積データ(逐語録、自由記述)や関連文献の記述を用いた質的帰納的研究により、構成概念の下位概念を明らかにした。その結果、意思疎通不可能な高齢者に対する看護師の終末期ケア態度を表す概念として、【死生観】【ケア意欲】【ケアの意義】【感情処理】の4概念が創出された。さらに、第3段階では、これら4概念のさらに下位の概念を用いて、質問項目の作成、尺度化、レイアウトを行った。これら下位の概念は、4概念より具体性を帯びているため、質問項目にはこれらを活用し、52項目を決定した。これらの尺度化では、尺度タイプは、看護教育学において態度などを数量的に測定する場合に多く用いられるリカート法を採用し、5件法を用いることとした。レイアウトは、回答者が下位尺度レベルで自己の傾向を把握できるよう、また理解の容易さなども考慮し、回答しやすい配列とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、尺度原案の作成を進めることができた。しかし、尺度の構成概念や下位概念、質問項目などは十分な吟味が必要であり、次年度の専門家会議までに見直しを重ね、尺度原案の精選に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3(2021)年度は、尺度を構成する。まず、老年看護専門看護師や老年看護学領域の研究者等から構成される専門家会議を開催し、尺度原案の内容的妥当性を確認し、修正する。次に、専門家会議を経て修正された尺度原案を用いてパイロットスタディを実施し、内容妥当性を確認し、必要があれば修正し、予備調査版を完成する。さらに予備調査を実施し、収集したデータを統計学的手法により分析し、質問項目を取捨選択し、本調査版を作成する。 令和4(2022)年度は、尺度の信頼性・妥当性の検証を行い、尺度を完成させる。 研究を遂行する上での課題として、次年度はCOVID‐19の影響により、医療現場で働く看護師の協力を得ることが困難と推察される。倫理的配慮に留意し、状況に応じて研究を進める必要がある。
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Causes of Carryover |
(理由) 購入予定のSPSSは、所属大学が有しており、新たに購入する必要がなかった。また、COVID-19の影響により、予定していた学会への出張がなくなり、旅費が未使用のままとなった。 (使用計画) 未使用分については、今後予想される遠隔での会議等に向け、IT環境の整備に使用する。
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