2020 Fiscal Year Research-status Report
行政保健師のワーク・エンゲイジメントを高める取り組みと強化モデル構築に関する研究
Project/Area Number |
20K11016
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
五十嵐 久人 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (90381079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 ひろみ 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (60305498)
高橋 宏子 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (80195859)
横川 吉晴 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (50362140)
石田 史織 信州大学, 学術研究院保健学系, 講師 (20710065)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 行政保健師 / ワーク・エンゲイジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下のことを実施した。 市区町村の保健師が所属する保健部門の管理職や中堅保健師、新任期保健師に対してワーク・エンゲイジメントに関する組織的な取組や新人保健師のリアリティーショックの事例の有無などの把握を行った。 結果、管理職からは、ワーク・エンゲイジメントという視点で組織的に取り組んでいる事は少ないが、保健師が課題や悩みなどを一人で抱え込まないよう、縦・横の繋がりを意識した組織作りを行っているという意見が聞かれた。また、新任期の保健師に対しては手厚いオリエンテーションなどの実施やプリセプターの配置により、相談し易い態勢づくりをしているという意見が出された。中堅期保健師においては、業務多忙で日常業務を淡々とこなす中、業務内容と専門職としての役割との間にギャップから熱意の低下や離職を考えたことがあるという話も聞かれた。また、これらの思いを職場内の人へ伝えることが難しい、伝えても解決はしないという思いから言わないなど、ワーク・エンゲイジメントとは真逆の状態に追われている保健師もいることが示された。新任期保健師においては、精神や発達障害の事例対応に困難を抱えており、こんなに大変だとは想像していなかったという発言が聞かれ、リアリティーショックが生じていることが確認された。また、これらに対しては、プリセプターの配置や個人の適応能力などを判断しながら仕事量を調整するなど、組織的な対応を検討・実施しており、業務に少しずつ慣れ、職場・業務への適応を高める工夫が行われていた。 しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、インタビュー数が少なく、情報に偏りが生じている可能性もあるため、引き続きの情報収集が必要である。また、得られた結果を基に、次年度以降に実施予定であるアンケート調査に向けた調査内容の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究の初年度は、情報収集として様々な行政機関の管理職および職員にワーク・エンゲイジメントに関するインタビューを実施し、保健師がポジティブで活気をもって業務に取り組めるような組織的な取組や新人保健師のリアリティーショック事例の有無などの確認を通して特徴など抽出し、今後の研究の推進に向けた基礎的な情報を得る計画であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、行政機関の保健師は日常業務の変更や新たな感染防止対策などで多忙のため、インタビュー時間の確保が困難となり、当初計画していた人数に話を伺うことが難しくなった。また、感染防止に配慮した対応として、オンライン会議システムを利用したインタビューも一部で実施できた。しかし、多くの行政機関でオンライン会議システムの導入が遅れていたことや、導入されたPCが部署に数台と少ないことでインタビューに利用が難しいなど、こちらでの実施にも大きな障害・課題が生じ、対面式で実施できなかったインタビュー数を補えるには至らなかった。しかし、インタビューが実施できた範囲で有用な情報を得ることができており、今後の研究推進に向け有意義なものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度のインタビュー情報が十分蓄積されているとは言い切れない為、引き続き、インタビューを通した情報収集を行う。得られた結果を基に、当初計画であるアンケート調査実施に向けた調査項目の精選を行うとともに、調査実施に向けた準備を進める。また、当初計画では、全国調査としていたが、新型コロナ感染症の拡大により、調査協力が負担となる自治体が生じることが予測されるため、まず県内の行政機関を対象とした調査を実施し、それらの結果および全国の感染拡大状況を判断したうえで過度な負担とならない様に配慮しながら全国調査の実施を判断しながら研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、当初計画していた数のインタビューや学会参加を通した情報収集や意見交換が実施できず、見込んだ額よりも経費がかからなかった為、次年度使用額が生じた。 (使用計画)次年度にインタビューや学会参加等による情報収集を引き続き実施予定のため、令和3年度請求額と併せて使用する計画である。
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