2023 Fiscal Year Research-status Report
原子力災害被災地における復興・帰還事業に係る情報発信と情報の受け止め方の検証
Project/Area Number |
20K11021
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 浩二 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (30722392)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 昇 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (30295068)
永田 明 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (30401764)
大山 祐介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (40789567)
平良 文亨 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (10542524)
折田 真紀子 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (90737305)
山田 裕美子 活水女子大学, 看護学部看護学科, 助教 (90840215)
辻 麻由美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (60771780)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 原子力災害 / 被災地 / 復興 / 帰還・移住 / 情報発信 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】本研究では、避難した住民の帰還か移住かの意思決定に影響を及ぼした情報、すなわちどのような情報が被災住民の意思決定に有益な情報であったのかを明らかにするために、自治体から発信される復興・帰還に関する情報の調査および住民へのインタビュー調査を行い、その内容分析から意思決定に迷う住民への情報発信について検討する。 【研究方法】福島県浜通りにある自治体の帰還事業に係る職員5名及びにその自治体に帰還または移住した住民7名(帰還5名、移住2名)に半構成的面接を行った。帰還または移住に影響した情報や情報発信の課題等である。逐語録から帰還等に関する内容を抽出し、カテゴリー化した。 【研究結果】帰還事業を進める自治体の職員は、住民の帰還に関する情報として、【放射線による健康影響】【復興状況】に関する情報が抽出された。それらの情報発信の手段については、【媒体を通した情報発信】【対面による情報発信】【他機関と連携した情報発信】が抽出された。他にも、【情報発信の課題】【新たな発信の課題】も挙がっていた。住民の帰還または移住に影響した情報として、【原発関連情報】【実生活関連情報】【放射線関連情報】が抽出され、その情報源は、自治体の広報誌やホームページ、テレビや新聞、知人が挙げられていた。また情報発信の課題として、【発信源の信頼性】【広報誌のマンネリ化】が挙がっていた。 【今後の課題】今後は様々な情報の中で、より具体的な受け手側のニーズに合った情報提供が求められるため、経時的な変化を踏まえた放射線関連や生活インフラ、助成金制度等の情報発信の継続と、帰還者ばかりでなく、移住者や県外避難者に向けた様々な媒体や対面を通じた他機関との連携された情報発信が求められる。また、情報発信の効果測定についても、他機関や他の自治体との連携が重要であると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究1-2年目の期間にCOVID-19の影響下で現地での調査が実施できなかったことから計画よりも少し遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
データ収集、解析と順調に進んでおり、研究結果の概要についても自治体へのフィードバックも行えた。今後は、最終的な公表に向けて準備を進めていく。
|
Causes of Carryover |
これまで現地での調査や打ち合わせ等が十分に実施できていなかったことから研究の公表が若干遅れている。研究成果の公表や自治体へのフィードバックのための費用として使用する予定である。
|