2020 Fiscal Year Research-status Report
The potential of open dialogue in child-rearing support-The effect of dialogue that creates new stories-
Project/Area Number |
20K11077
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
門間 晶子 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (20224561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 みどり 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (30257604)
山本 真実 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (90710335)
細川 陸也 京都大学, 医学研究科, 講師 (70735464)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オープンダイアローグ / 子育て支援 / 子ども虐待予防 / 家族支援 / 地域母子保健活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は子育ての困難を抱える家族に対してオープンダイアローグ(以下、OD)等の開かれた対話を実践し、親、近親者、保健師など参加者の反応と変化、および子育て支援・子ども虐待予防に向けた対話的アプローチの可能性を明らかにすることである。研究はほぼ3段階に分けて計画されている。第1段階:少人数の親グループに行うOD、第2段階:子育て中の家族や近親者へのOD、第3段階:保健師等支援者とともに子育て中の家族へ行うOD の段階で進行する予定である。 初年度である令和2年度は、第1段階および第2段階の研究に着手する予定であり、所属機関の研究倫理審査を受け、承認された。しかし、COVID-19の影響により、ダイアローグを対面ではなくオンラインで実施する可能性も加えて倫理審査を再申請し、承認を受けた。それとともに、研究フィールド開拓として、2つの団体にアプローチした。1つは約2年前から関係をつくってきた名古屋市の里親団体である。もうひとつは名古屋市の子ども青少年局から運営を委託されている子育て支援センターである。両者に対して研究の主旨を説明し、協力を得ることができた。 本研究課題の前進にあたる16K12304の研究課題の時期から取り組んできた、児童相談所でのOD研修の実践について、保健師ジャーナル第76巻第10号(2020)に報告することができた。また、ダイアローグや対話に関する文献検討については、WEB開催された日本家族看護学会での口演を経て、学会誌への論文投稿を予定している。ダイアローグを研究と実践の両面から積み重ねていくためには、研究者自らダイアローグの研鑽を積み重ね、共に取り組む仲間をつくる必要があり、その点については、定期的にセミナーに参加し、スーパーヴァイズを受け、ピアトレーニングを続ける環境に身を置くことができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究のフィールド開拓や研究者自身のトレーニングなどの実施基盤は、前研究課題16K12304の際に整えてきたつもりであったが、COVID-19の影響を受けて、家族面談の予定が立たない、ODトーニングが延期になる、研究協力機関への協力依頼時期が遅くなる、などの状況にあった。研究倫理審査については、令和2年8月に承認されたが、COVID-19の感染拡大に対応しうる研究方法を加えて再申請の必要が生じ、令和3年3月に承認を受けた。研究協力機関への打診の時期も予定より遅れたが、以前より交流のあった里親団体および名古屋市の子育て支援センターから研究協力の承諾を頂けたため、令和3年度に子育てオープンダイアローグを継続的に実施するための準備を令和2年度中に整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる令和3年度の前半は、約2年かけて関係をつくってきた里親会メンバーを対象とした「子育てオープンダイアローグ」を毎月実施する予定である。里親会での研究では、親同士のダイアローグを行う第1段階から、家族や関係者を単位としたダイアローグを行う第2段階の研究へ、比較的早い段階で移行する可能性がある。あるいは、第1段階と第2段階の研究を並行して実施する場合が考えられる。すなわち、第1段階で親同士の対話をしながら、希望する家族に対して第2段階の家族を単位としたダイアローグの準備を行う。 もう一方のフィールドとして、一般市民が利用している子育て支援センターの協力を得て、子育て困難の経験者を募集して子育てオープンダイアローグを実施する予定である。こちらについても、まずは親同士のダイアローグを実施し、関心を示す家族に対して、第2段階の家族を軸にしたダイアローグが実施できるとよいと考えている。 また、研究者が長年関与してきたひとり親家庭への呼びかけを開始したいと考えている。乳幼児の子どもと親は次第にひとり親家族の集いに定期参加しなくなるが、研究者とは連絡を取り合える関係にある。ひとり親がこどもとの関係や子育てに悩む時期は、むしろ子どもの学童期以降となる可能性がある。このように、過去に繋がりがあった親子に呼び掛けて、ひとり親家庭の子育てオープンダイアローグの機会をもつことを視野に入れる。 さらに、第3段階の研究につながる、保健師等援助職者が関わる家族に対して支援者と共にODを実施するためには、現在ともにダイアローグの勉強をしている仲間との関係を築き、共に研究に取り組めるように発展させてていく必要がある。
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Causes of Carryover |
令和2年度に受講予定であった、海外講師を含めたトレーニングが延期となったため、令和3年度にその経費が必要である。また、令和2年度にはデータ収集が一切できなかったため、託児謝金や研究協力謝品、逐語録作成料、スーパーヴァイズ料などが生じなかったが、令和3年度にはデータ収集が可能となる予定のため、これらのために使用予定である。
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