2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢者を対象とした、シナジー理論に基づく新しい歩行リハビリテーション法の開発
Project/Area Number |
20K11198
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
浅井 剛 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 助教 (50411880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三栖 翔吾 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 助教 (20824105)
福元 喜啓 関西医科大学, 医学部, 講師 (30636121)
為井 智也 神戸大学, 数理・データサイエンスセンター, 准教授 (40548434)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歩行 / 動作計測 / 簡易カメラ / 妥当性の検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目的は、可搬性の高い動作解析システムの導入であった。当初、慣性センサをベースに動作解析システムを構築する予定であったが、発展の著しい簡易カメラのデータを用いたオープンソース動作解析システムの利点(価格優位性、可搬性、実効性)を考慮し、簡易カメラをベースとしたシステムの導入を検討することとした。 研究対象者は、歩行動作に影響を及ぼす身体機能障害を持たない、健常な若年者とした。対象者には、自身の感覚で、ゆっくり、ふつう、速いの3条件の歩行を行ってもらった。その際の全身の動きを、3次元動作解析システム(MAC3D System: nac Image Technology Inc.)と簡易カメラ(FDR-AX45, SONY)とで同時計測した。また、筋電計(多チャネルテレメータシステム、日本光電)を用いて、歩行中の下肢と体幹の8筋の筋活動を計測した(大腿三頭筋、大腿四頭筋(2筋)、前脛骨筋、ハムストリングス、大殿筋、中殿筋、腹直筋)。スペースの限られた実験室(計測範囲:2メートル)での計測であったため、各条件を複数回行った(合計16計測)。システマティックバイアスを生じないよう、計測の順序はランダム化した。歩行計測後、それぞれの最大筋力発揮時の筋活動を標準的肢位で計測した。 現在までのところ、2名の対象者(運動機能に問題のない若年者)について歩行計測を実施した。3次元動作解析装置からのデータ抽出は完了している。簡易カメラの画像データについては、オープンソースの動作解析システムの選定が済み次第、解析処理を実施してデータを抽出することとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度の研究課題は、場所を選ばすに計測可能な動作解析システムの構築であった。本研究では、動作計測に簡易カメラを利用することになったため、まずは、簡易カメラの画像データから算出される関節角度などの一致度の検証(妥当性の検証)が必要となった。しかし、この検証には、長時間、被験者と計測者が同じ部屋で作業をしなければならず、コロナウイルス蔓延による緊急事態宣言等の影響で十分な計測は行えなくなった。感染者数が落ち着いた年度後半に複数回計測を行ったが、最終的な被験者数は2名にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
データ処理を実施する段階で、再度、緊急事態宣言が発出されたため、今のところ簡易カメラから抽出したデータの前処理さえも行えていない状況である。 今後、コロナの状況を勘案しつつ、被験者を増やし、引き続き簡易カメラを用いた動作解析システムを構築していく予定である。ただし、高齢者のコロナ感染による健康リスクを鑑み、被験者は若年者のみを予定している。若年者を対象とする分、歩行動作の難易度に関して自由度ができるので、歩行条件を増やし(歩行とは別の課題を同時に行う二重課題歩行を実施予定)、歩行動作そのものの詳細な検討に焦点を移していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、コロナウィルス蔓延の影響で大学内への業者の出入りが長期間制限された。そのため、購入予定であったワイヤレス筋電計等のトライアルができず、購入手続きが進まなかった。次年度は、ワクチンの接種状況をみつつ、万全の感染症対策を行った上で、複数のワイヤレスの筋電センサ、可能であればマルチチャンネルのシステムのトライアルを実施し、なるべく早い時期に必要な機器を購入する予定である。また、学会等については国際学会を含めて可能な範囲で参加する予定である。
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