2020 Fiscal Year Research-status Report
座位時間を活用した下腿筋萎縮抑制の長軸部位別効果検証
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20K11204
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山崎 俊明 金沢大学, 保健学系, 教授 (00220319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 利明 金沢大学, 保健学系, 教授 (80324086)
大野 直樹 金沢大学, 保健学系, 助教 (30642219)
宮地 諒 京都橘大学, 健康科学部, 助教C (50847001)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 下腿筋 / 長軸部位 / 座位 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、研究分担者が開発した座位撮像MRIを使い、先行研究で確立した座位時下腿筋評価法の汎用化を図り、超音波画像診断装置による評価の可能性を探る。さらに高齢者施設等で圧倒的に多い座位時間の有効活用を目的に、等尺性収縮による効果的長軸部位を下腿筋の形態面から検証することである。 2020年度は、まず健常成人を対象にMRI画像による臥位と座位比較を行った。従来型のMRI画像(臥位)とGravity MRI画像(座位)の相違を分析し、重力や圧迫等による骨格筋の変形を捉えることによって長軸部位による精密な評価を実施した。先行研究で確立した座位時下腿筋評価法の撮像条件に基づき、腓骨頭から290mm遠位まで10mm間隔で撮像(T1強調像)した。座位時は先行研究時の設定椅座位、臥位時は二関節筋の影響を考慮し、背部を床に接した股・膝関節屈曲位(膝部を左右、踵部を下部から支持)とした。画像解析ソフトZedViewを用いて、ヒラメ筋、腓腹筋内側、腓腹筋外側の各筋横断面積を測定した。座位と臥位で比較した結果、下腿の25%部は腓腹筋内側のみ、50%部ではヒラメ筋と腓腹筋内側で座位の方が有意に大きかった。 今回の結果より、筋横断面積は座位に比べ、臥位で筋量を過小評価する可能性が示唆された。また、臥位時MRI撮像では、股・膝関節90°屈曲位で踵のみ接床するため、測定部位は床面からの圧迫による影響は生じない。重力により筋のたわみが生じたことで、筋に対して斜めにMRI撮像が行われ横断面積に変化が生じた可能性がある。座位と臥位のたわみ方の違いとして、臥位では下腿軸に対して垂直方向に重力を受けるため、筋が下腿軸に対して平行にたわむことで横断面積の変化が座位に比べて小さくなったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は研究実施計画に従い、おおむね計画通りに進展した。 本研究の第一の目的は、平成28~令和元年度の基盤研究(C)で確立した座位撮像MRI(Gravity MRI)による座位時下腿筋評価法をもとに、汎用的機器である超音波画像診断装置での評価法を確立することである。両機器による測定値の相関分析により、肢位(座位および臥位)ごとの重力による下腿筋の形態変化(たわみ・圧迫)を想定し長軸部位を考慮した臨床的評価方法を確立する。第二の目的は、車椅子座位時の肢位を考慮し、等尺性筋収縮を加えることによる廃用性萎縮抑制に効果的長軸部位を形態面から検証し下腿筋の長軸部位(近位・筋腹中央部・遠位)に応じた介入法を探ることである。 2020年度は初年度であり、まずGravity MRIによる評価結果を座位と臥位で比較検討し、成果を学会発表し論文化した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は2年目であり、当初の研究実施計画に従い実施予定である。 座位撮像MRI(Gravity MRI)による座位時下腿筋評価法をもとに、汎用的機器である超音波画像診断装置(MyLab25)での評価法を確立し、両機器による測定値の相関分析を計画している。初年度で得られた肢位(座位および臥位)ごとの重力による下腿筋の形態変化(たわみ・圧迫)を想定し長軸部位を考慮した臨床的評価方法を探る。具体的には同一被検者を対象に座位時MRI画像と超音波画像の長軸部位別分析を実施する。パラメーターとしては、筋横断面積・筋厚・周径を考えている。 順調に進行した場合、等尺性収縮による長軸部位別筋形態変化の分析を計画している。ハンドヘルドダイナモメーター(HHD, μTas;アニマ社)を使用し足関節底屈最大筋トルクを測定する。測定肢位は撮像時と同様の椅座位とし、3秒間最大等尺性収縮運動を行い、2回平均値(kg)×アーム長(内果下端から第一中足骨頭までの距離)/体重を筋トルク値として使用する。MRIおよび超音波の撮像中は、HHDを使用しセラバンドを最大等尺性収縮力の50%の負荷量に調整し、大腿部を固定、足趾は中間位で安静時と等尺性収縮時の比較を行う予定である。研究が順調に進行した場合の計画であり問題が生じ研究に遅れが生じた場合は、次期の研究課題とする。 2022年度は3年目(最終年度)であり、座位時下腿筋評価法の汎用化を図り、超音波画像診断装置による評価の可能性を探る。当初、医療用機器の高性能な機能の一端を自宅などで誰でも利用できることを特長に開発された超音波スキャナ(Butterfly iQ)による汎用化の可能性を探ることを計画していたが、輸入状況に支障があるため、現在はポケットエコー(miruco;SIGMAX)による検証を予定している。
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Causes of Carryover |
2020年度に発表を予定していた学会が、新型コロナ感染症のためWeb開催に変更になったため、計画していた旅費の支出がなかった。 また、同様の理由で研究分担者(宮地諒氏:京都橘大学所属)と研究代表者および他研究分担者(金沢大学)との金沢大学での打ち合わせ会議予定を急遽リモート会議に変更したため交通費(京都・金沢間)の支出がなかった。 以上の理由により、次年度使用額(\85,972-)が生じた。2021年度は、前年度の経験を生かし感染対応を十分考慮した使用計画にて実施する。
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Research Products
(8 results)