2020 Fiscal Year Research-status Report
Risk factors for dysphagia after weaning from invasive mechanical ventilation and therapeutic effect of electrical stimulation.
Project/Area Number |
20K11240
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 隆一 獨協医科大学, 医学部, 教授 (10301053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大林 茂 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (90318246)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 嚥下障害 / 人工呼吸 / 気管挿管 / 電気刺激療法 / 舌骨喉頭筋群 |
Outline of Annual Research Achievements |
欧米ではICUの重症患者において気管挿管下の人工呼吸後にしばしば嚥下機能が低下し、長期的な予後が悪化することが知られているが、本邦ではまだほとんど調べられていない。本研究は、まずはじめに当該施設のICUにおいて人工呼吸器離脱後の重症患者の嚥下機能を網羅的に調査し、嚥下障害の程度や障害部位、その背景やリスク因子などの現状について調べ、続いてハイリスク症例の特徴を洗い出してスクリーニングを行い、最終的にはハイリスクと判断された症例を対象に電気刺激や嚥下訓練といった介入の有用性を通常管理群を対照に比較検討する予定としている。 2020年度は第1段階として、ICUにおける人工呼吸器離脱後の嚥下機能に関する網羅的スクリーニングを行い、当該施設における嚥下機能低下の現状を把握するため、言語聴覚士の協力を得てICUの人工呼吸患者の評価を行い、現在までに25症例のデータ収集を終えた。症例数が少ないため詳細な解析はまだ行っていないが、欧米と同様に人工呼吸時間が48時間を超える長期人工呼吸症例において何らかの嚥下機能低下を認める場合が多いという印象を得た。しかし手術内容や年齢、併存症などのバリエーションが多く、交絡因子によるバイアスがかなり多くなっていた。現在はまだ症例数が少ないため解析に耐えるデータとはなっておらず、これらの因子のバイアスを減らすためには、最終的に100例程度の症例数が必要になるものと考えている。さらにリスク因子の洗い出しのために評価項目の見直しも今後検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は研究代表者の施設のICUにて行う予定であったが、2019年度後半に発生したCOVID-19の流行に対し、埼玉県の要請により2020年8月から当該ICUが重症COVID-19患者の専用病棟となったため、研究に振り分けられる症例数が著しく減少した。このため嚥下評価を行うべき患者のエントリーができなくなり、現在ICU患者における嚥下機能の評価が困難な状態となっている。このため症例数は伸びておらず研究計画は大きく遅れており、今後の状況に関してもCOVID-19の流行の沈静化が得られなければ研究を予定通り進めることは困難といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の流行が沈静化すれば、通常のICU管理に戻ると考えられ、初年度に行う予定だった人工呼吸器離脱の嚥下障害の発生状況やそのリスクに関する現状調査を進めていく。従って現時点ではおよそ1年分進捗が遅れているため、研究期間の延長も視野に入れて研究計画の見直しを図っている。 しかしCOVID-19の沈静化の時期に関しては、現時点でまだ不透明であるため、長期にICUが使用できない状況が続くと判断される場合は、施設内のHCUなど他部署の人工呼吸患者も対象にして同様のプロトコルで研究を行う必要があると考えられる。その場合、新たに当該施設の倫理委員会などに相談をして研究継続の承認および遂行に協力を仰ぐつもりである。
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Causes of Carryover |
研究の第2段階では嚥下障害をきたすハイリスク症例を選別し、介入研究を行う予定だが、今年度はその際に用いる電気刺激装置2種類のうち1種類(ジェントルスティム)をを早めに購入した。その理由は当該装置を実際に臨床で使用した経験を得ておくことで、その装置の特徴や使用方法に熟練することができ、介入研究時の具体的な手順や設定を決めておくことができると考えたからである。これにより2020年度は金額の大きな本装置およびデータ入力用のPCの購入のみの費用が発生することとなり、端数として次年度使用額が生じたものである。 2021年度はもう1種類の電気刺激装置(バイタルスティム)を購入予定としており、次年度使用額を含めて購入を行うことになる。
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