2021 Fiscal Year Research-status Report
Risk factors for dysphagia after weaning from invasive mechanical ventilation and therapeutic effect of electrical stimulation.
Project/Area Number |
20K11240
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 隆一 獨協医科大学, 医学部, 教授 (10301053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大林 茂 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90318246)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 嚥下障害 / 人工呼吸 / 気管挿管 / 嚥下反射 / 電気刺激療法 / 舌骨喉頭筋群 |
Outline of Annual Research Achievements |
欧米ではICUの重症患者において気管挿管下の人工呼吸後にしばしば嚥下機能が低下し、長期的な予後が悪化することが知られているが、本邦ではまだほとんど 調べられていない。本研究は、まずはじめに当該施設のICUにおいて人工呼吸器離脱後の重症患者の嚥下機能を網羅的に調査し、嚥下障害の程度や障害部位、そ の背景やリスク因子などの現状について調べ、続いてハイリスク症例の特徴を洗い出してスクリーニングを行い、最終的にはハイリスクと判断された症例を対象 に電気刺激や嚥下訓練といった介入の有用性を通常管理群を対照に比較検討する予定としている。 2021年度は昨年度より継続してICUにおける人工呼吸器離脱後の嚥下機能に関する網羅的スクリーニングを行った。当該施設における嚥下機能低下の現状を把握 するため、言語聴覚士の協力を得てICUの人工呼吸患者の評価を行い、41症例でデータを収集し解析した。対象を人工呼吸器離脱直後の嚥下不良群20例、良好群21例に分けて比較したところ、背景として不良群においてせん妄、酸素化不良、嚥下反射不良が有意に多かった。一方退院時の嚥下不良群は5例(14.3%)まで減少しており、多くの症例で改善していた。この結果に対する考察として、人工呼吸器離脱直後はせん妄や反射の低下、呼吸状態の不良により嚥下機能が障害されていたが、全身状態の改善や嚥下訓練などの介入によりそのほとんどは嚥下機能が改善すると推察された。 なお2021年度の研究結果は第49回日本集中治療医学会学術集会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は研究代表者の施設のICUにて行う予定であったが、2019年度後半に発生したCOVID-19の流行に対し、埼玉県の要請により2020年8月から当該ICUが重症 COVID-19患者の専用病棟となったため、研究に振り分けられる症例数が著しく減少した。そしてその状態は2022年3月現在も継続している。このため嚥下評価を行うべき患者のエントリーが少なくなり、 十分な対象症例が困難な状態となっている。このため研究計画は大きく遅れており、今後の状況に関してもCOVID-19の流行の沈静化が得られなければ研究を予定通り進めることは困難である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の第一段階である網羅的スクリーニングはほぼ終了したため、2022年度からは第2段階であるリスク因子の洗い出しの行程に移行する。これは嚥下障害をきたした症例の背景因子から人工呼吸器離脱後に嚥下障害を発症する可能性の高いハイリスク症例を選抜するための因子を抽出し、実際にこれらの因子によるスクリーニングで嚥下障害を診断できる感度や特異度について調査する。ハイリスク症例の洗い出しが可能となれば、これらの症例を対象として最終段階である電気刺激療法による介入研究を行う予定である。 しかしCOVID-19の沈静化の時期に関しては現時点でまだ不透明であり、長期にICUが使用できない状況が続くと判断される場合は、研究計画の見直しまたは延長が必要になるものと思われる。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で研究計画が遅延していることに加え、学会発表などのために計上していた旅費がweb開催に変更されたことなどがあり使用しなかったことによる。 2022年度以後は各学会の活動も再開され、現地開催となれば旅費が必要になることに加え、今後の研究計画を早めるために現在使用している電気刺激機器の追加購入も検討している。
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Research Products
(1 results)