2021 Fiscal Year Research-status Report
The neural mechanisms of the back and the abdominal muscles in the lumbar segments related to postural control and the effects of aging
Project/Area Number |
20K11242
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
丹羽 正利 杏林大学, 保健学部, 教授 (90274985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 也生子 杏林大学, 保健学部, 准教授 (00515827)
福田 実乃里 杏林大学, 保健学部, 助教 (40827680)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 固有背筋 / 腹壁筋 / 運動ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、老化や脳障害後に見られる体幹筋の病態を明らかにするために、姿勢制御にとって最も重要だと考えられる腰部のそれぞれ腹側と背側にある腹壁筋と固有背筋の脊髄神経機構を探究することが目的である。令和2年度は第1腰髄、令和3年度は第13胸髄からの腹壁筋と固有背筋運動ニューロンの逆行性標識を行った。実験には成人のWistar系ラットを用いて、イソフルラン吸入麻酔下にて、無菌的に背部の皮膚を切開し、第13胸髄からの脊髄神経前肢(腹壁筋支配枝)と後肢(固有背筋支配枝)を剖出し切断した。生理食塩水に融解させた10%Dextran-fluorescein溶液に切断神経中枢端を1時間浸した上で術創を閉じた。1週間の生存期間後、ソムノペンチルの深麻酔を投与し左心室より4%パラフォルムアルデヒド溶液にて灌流固定を行い、関連する脊髄を取り出し後固定を行った。その後、ビブラトームを用いて厚さ80μmの水平断切片を作成し、切片を蛍光顕微鏡下で観察・撮影し、標識された運動ニューロンの細胞数と細胞体断面積の計測をした。また、運動ニューロンの樹状突起の脊髄内走行を解析するために、上記と同様の実験を第13胸髄と第1腰髄で行い、同様の行程を経て横断切片を作成し解析を行った。その結果、第13胸髄前枝と後枝の運動ニューロンは縦断方向に連なる連続性をもつ細胞柱を形成し、両者は脊髄内で重複はしないものの分布は異なり、前角底部全体に広がるように幅広く分布する特徴を有していた。両者の細胞数と細胞体断面積を比較すると、平均細胞数は前枝の方が多い個数を示し、細胞体断面積は両者で差は認められなかった。また、横断切片における運動ニューロンの樹状突起の脊髄内走行では、両髄節の前肢および後枝の運動ニューロンとも2方向性の樹状突起を持ち、背内側かつ背外側方向へ投射していること明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、姿勢制御にとって最も重要だと考えられる腰部のそれぞれ腹側と背側にある腹壁筋と固有背筋の脊髄神経機構を探究することが目的である。腹壁筋と固有背筋の役割を理解するために、令和2年度は第1腰髄、令和3年度は第13胸髄が支配するその運動神経核の形態と分布を解析した。その結果、第1腰髄と第13胸髄前枝と後枝の運動ニューロンについて、それぞれ縦断方向に連なる連続性をもつ細胞柱を形成し、両者は脊髄内で重複はしないものの分布は異なり、前角底部全体に広がるように幅広く分布する特徴を有していた。両者の細胞数と細胞体断面積を比較すると、平均細胞数は、前枝の方が多い個数を示し、細胞体断面積は、両者で差は認められなかった。ヒストグラムは前枝が単峰性の分布を、後枝が2峰性の分布を示した。また、横断面における運動ニューロンの樹状突起の脊髄内走行では、両髄節の前肢および後枝の運動ニューロンとも2方向性の樹状突起を持ち、背内側かつ背外側方向へ投射していること明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、姿勢制御にとって最も重要だと考えられるそれぞれ腰部の腹側と背側にある腹壁筋と固有背筋の脊髄神経機構を探究することが目的である。令和2年度は第1腰髄、令和3年度は第13胸髄からの固有背筋運動ニューロンの逆行性標識を行った。実験には成人のWistar系ラットを用い、剖出した第13胸髄からの脊髄神経前肢(腹壁筋支配枝)、後肢(固有背筋支配枝)を切断し、生理食塩水に融解させた10%Dextran-fluorescein溶液に切断神経中枢端を1時間浸した上で、1週間の生存期間後、脊髄を取り出し後固定を行うことによって水平断切片を作成し解析を行った。また、同様に横断切片を作成し運動ニューロンの樹状突起の脊髄内走行の解析を行った。 今後は腹壁筋と固有背筋について、皮質内微小電気刺激(intracortical microstimulation, ICMS)を行う予定である。実験には成人のWistar系ラットを用いる。ケタミン麻酔下にて、脳定位固定装置に頭部を固定し、一側の前頭頭頂部の頭蓋骨を除去し、硬膜外から大脳皮質運動領野にタングステン微小電極を刺入し、ICMSを行う。それによる受動的関節運動に対する電気生理学的反応から、体幹筋領域、とくに腹壁筋領域、固有背筋領域を同定する。以上のICMSから大脳皮質運動領野の体幹筋領域が確定したら、左右の腹壁筋群、固有背筋群の数か所にワイヤー筋電図を刺入し、誘発筋電図を記録する。それぞれの電気刺激に対する刺激前後時間ヒストグラムを作成して、各筋電図の大脳皮質刺激に対する応答性を調べる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、調達方法の工夫などにより、当初計画より経費の節約ができたためである。 その使用計画は、物品費として計上する。
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