2021 Fiscal Year Research-status Report
Development and evaluation of a dementia prevention support program which is provided by the collaboration of community medicine welfare, utilizing the group exercise with musical therapy
Project/Area Number |
20K11266
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
小口 江美子 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 特任教授 (50102380)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 祐二 昭和大学, 医学部, 教授 (50204821)
小野 賢二郎 金沢大学, 医学系, 教授 (70377381)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 認知症予防カフェ / 音楽運動療法プログラム / 歌う / 音楽体操 / 心・体・脳の活性化 / 介護負担軽減効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国の急速な高齢化の進行に伴い、内臓系、筋・骨格系への寝たきり予防対策だけではなく、認知症に対する施策が急務とされる現状を踏まえ、大学病院、自治体、地域が連携して実施する「脳・心・体に調和する認知症予防プログラム」の開発は、他の地域の産官学連携の介護予防プログラム開発にも応用可能な、発展性のある研究であると考えられる。 研究代表者が開発した音楽運動療法プログラムは、血管性認知症を患う人、成人発達障害患者、うつ病患者、虚弱高齢者などに実施した研究結果から、音楽を使って体を動かし健康を保つこと、音楽を聴いてリフレッシュすること、地域住民が集い社会性を維持することは、脳、心、体の健康維持に欠かせないことが示唆された。我々は、高齢者が住み慣れた地域において心身の健康のみならず脳の健康をも維持しながら安心していきいきと暮らしていくために、大学病院、自治体、地域が連携して活用し、かつ相互に協力し助け合えるサポートプログラムの開発を目標としている。本研究の目的は、地域と病院とで運営する「認知症予防カフェ」の役割に着目し、気軽に立ち寄れるカフェでの視聴覚教材を起用した音楽体操(音楽運動療法プログラム)の短期および長期実施後における認知症予防効果や家族の介護負担軽減効果を、患者本人と介護家族への主観的・客観的調査を基に認知症患者と家族ぐるみの支援の在り方を検討し評価することである。 この2年間は、Covid-19による感染が波状的に拡大した為、高齢者対象の認知症予防カフェは全く実施できなかった。しかしながら、認知症予防カフェなどの地域活動を実践するには地域リーダーの育成が必要不可欠であることから、音楽や運動の認知症予防効果に関心を持つ人および地域リーダーを目指す人への最新論文に基づく理論学習と音楽や体操の用い方についてのアクティブラーニングセミナーを立ち上げ、啓発活動を実施できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
音楽を使って体を動かし健康を保つこと、音楽を聴いてリフレッシュすること、地域住民が集い社会性を維持することは、脳、心、体の健康維持に欠かせないと考え、音楽運動療法を起用した認知症予防カフェを立ち上げ、認知症患者とその家族への効果を検討し評価することを研究目的としているが、コロナ感染状況が続き、2020年度、2021年度は認知症予防カフェは全く実施できなかった。集うこと、歌うことが禁じられている状況下では、特に高齢者を対象とする認知症予防カフェを開催することはできず、カフェに参加する研究協力者を募ることは不可能であった。そのような理由から、本研究は予定通りにうまく進んでいないという結果になっている。 しかしながら、本研究の一環として、音楽や運動の認知症予防効果に関心を持つ人への啓発活動は計画通り実施することができた。認知症予防カフェなどの地域活動を実践するには、地域リーダーの育成は必要不可欠である。大学のリカレントカレッジプログラムの中に、音楽と運動の認知症予防効果とその活用方法について理論と実践を学ぶアクティブラーニング講座を立ち上げ、認知症予防の地域リーダーを育成することを目指した。参加者は理論や技術を受動的に学び習得するだけではなく、各自が抱える家族や地域の認知症介護における問題点を話し合い、これまでの自らの知識や技術を披露し、相互に技術交換し、ブラッシュアップした。参加者へのアンケート調査によると、本講座は講座参加前の期待値を大幅に上回り、大変有用であったという評価が得られた。 たとえ2022年度も認知症予防カフェの開催が不可能であっても、コロナ感染状況に応じた認知症予防活動を探り、その効果について評価し、さらに研究を継続していく所存である。
|
Strategy for Future Research Activity |
音楽と共に体を動かすことは、単に音楽を聴取するだけに比べて「大変心地良い」という、研究代表者らが以前採取した健常成人の主観的感想と、それを裏付ける客観的データを基に、たとえ2022年度も認知症カフェが実施できない場合でも、コロナ感染状況を考慮して変更を加えながら、高齢者を対象とした音楽付き体操に関する認知症予防効果の研究続行とデータ採取を実施する予定である。 先ずは研究参加協力者の認知症予防プログラム介入前の基本状態の把握へと繋げ、少しでも研究を前に進めることを計画している。 音楽付き体操を起用した音楽運動療法プログラムが軽度の認知症患者やその予備軍と呼ばれる人達の認知症予防に繋がるかを検討するあたり、S大学病院に通う軽度の認知症患者やその予備軍と呼ばれる人達を対象として、単回の音楽介入によるデータを採取し、評価することは可能であると思われ、これは、以前研究代表者が20代~50代の女性を対象に実施した気分測定および脳波測定の結果と比較検討できると思われる。そこで、2022年度は単回の音楽刺激の脳への効果について高齢者のデータを採取し、認知症予防プログラム介入前の基本状態の把握へと繋げて、少しでも研究を前に進めることを計画している。 その後、コロナ感染状況を判断しながら、認知症予防カフェ開催を実施し、カフェに参加する研究協力者を募って、音楽運動療法を起用した認知症予防カフェへの参加継続による効果を検討し、評価する。2022年度で終了できない場合は研究継続申請によりできれば2023年度も研究を継続していきたいと考える。 コロナ感染状況により高齢者のリクルートが困難な場合は、認知症予防の地域リーダー育成のための啓発活動として、音楽や運動の認知症予防効果についてアクティブラーニングブラッシュアップセミナーを開催して、セミナーの効果を検証していく予定である。
|
Causes of Carryover |
2021年度もコロナ感染が拡大し、認知症予防カフェの開催が困難となり、研究参加協力者の募集が不可能であったため、カフェ開催、および参加者募集による研究実施のための研究費が未使用になった。加えて、2021年度も日本音楽療法学会学術総会の現地開催が中止となり、研究発表を断念したため、支出予定であった学会参加費や交通費、宿泊費なども予定通りには使用できなかった。 高齢者の認知症予防カフェ参加が難しい現状を踏まえて、介護予防の地域リーダを目指す人、認知症予防に従事する福祉関係者、医療従事者などを対象として、啓発的セミナーを開催し、地域での介護予防の現状や問題点などについての意見交換を行った。セミナーでは、音楽や運動の認知症予防効果について、最新論文に基づく理論学習と音楽や運動の用い方についての技術習得を目指し、本研究のテーマである音楽運動療法を活用した認知症予防カフェの立ち上げや運営に関する方略を話し合った。その際、セミナーで使用する楽器等を購入し、アクティブラーニングに役立てたが、当初予定していた研究経費ほどには費用がかからず、次年度使用額が生じることとなった。 2022年度はコロナ感染状況を考慮しながら、当初の予定通り、音楽運動療法を活用した認知症予防カフェを立ち上げ、参加する高齢者もしくは軽度認知障害の人を対象に研究協力者を募り、長期及び短期のカフェプログラム参加効果を検討していきたい。
|
-
[Journal Article] Myricetin prevents high molecular weight Aβ1-42 oligomer-induced neurotoxicity through antioxidant effects in cell membranes and mitochondria.2021
Author(s)
Kimura AM, Tsuji M, Yasumoto T, Mori Y, Oguchi T, Tsuji Y, Umino M, Umino A, Nishikawa T, Nakamura,S Inoue T, Kiuchi Y, Yamada M, Teplow DB, Ono K.
-
Journal Title
Free Radic Biol Med.
Volume: 171
Pages: 232-244
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Serum BDNF as a Potential Biomarker of Alzheimer's Disease: Verification Through Assessment of Serum, Cerebrospinal Fluid, and Medial Temporal Lobe Atrophy.2021
Author(s)
Mori Y, Tsuji M, Oguchi T, Kasuga K, Kimura A, Hutamura A, Sugimoto A, Kasai H, Kuroda T, Yano S, Hieda S, Kiuchi Y, Ikeuchi T, Ono K.
-
Journal Title
Front Neurol.
Volume: 12
Pages: 653267
DOI
Peer Reviewed
-
[Presentation] アミロイドβ高分子oligomer誘発性細胞傷害に対する新規治療薬GT863の保護作用2021
Author(s)
門馬佑太郎, 辻まゆみ, 小口達敬, 野原哲人, 大橋英朗, 井藤尚仁, 山本謙, 永田未希, 中村史朗, 小野賢二郎, 木内祐二
Organizer
第40回日本認知症学会
-