2021 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ選手のマイクロサッカードを指標としたビジュアル・ピボットの有効性
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20K11316
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| Research Institution | Nihon University |
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Principal Investigator |
高橋 正則 日本大学, 文理学部, 教授 (10297757)
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2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | マイクロサッカード / ビジュアル・ピボット / 眼球運動 / 固視微動 / テニス / スポーツ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は，ある特定の位置を注視しながら周辺視システムを用いてより多くの情報を収集していると考えられているビジュアル・ピボットという認知方略に着目し，スポーツ選手のマイクロサッカード（MS）を指標としてビジュアル・ピボットの有効性を明らかにし，スポーツ選手の潜在的注意の働きを可視化することを目的とした．具体的には，テニス選手を対象とし，Posner課題（モニター画面中央の点を固視したまま周辺視に現れた視覚刺激を特定して反応する課題）中の固視微動からMSの抽出を試み，その出現頻度や方向，および被験者の反応や競技力との関係を調べ，テニス選手の固視する能力に関して検討する．
令和３年度の研究実施計画では当初予定の実験を継続して行う予定であったが，令和２年度に続いて新型コロナウイルス感染症拡大の影響により，被験者の安全を完全に確保できないという理由から，十分な実験の実施が出来なかった．そのため，眼球運動研究や眼球運動測定器等を用いた実験環境の構成等について文献的検討を実施した．また，テニスのサービスに対するレシーブ（予測反応事態）においてレシーバーとなる被験者のMSを検出し，それらの出現頻度や方向等から潜在的注意の対象を推定したTakahashi et al.（2018）による実験的検討結果（1次研究）に基づき，2次研究として，テニス選手における固視力（MSの出現頻度に影響を与える固視を持続する力）について議論した．その結果，予測反応事態における実験環境では検出されるMSの頻度が著しく低下する問題が指摘され，潜在的注意の具体的内容を十分吟味できないことが危惧された．
そこで，今後の研究計画として，MSの出現が十分期待されるPosner刺激を用いた実験環境を設定し，MSの出現様態を確認することが可能となれば，被験者個々の固視力を適切に評価できるものと考えられた．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和３年度は，研究実施計画の通り，当初の実験を行う予定であったが，令和２年度と同様，新型コロナウイルス感染症拡大の影響により，対面での実験に参加する被験者を十分確保することが出来なかった．また実験では，被験者は実験装置である顎台に顎を載せ，眼球運動測定器のセンサーに向けて頭部を固定したまま，反応のための手指用ボタンに終始触れながら課題を実施することが求められ，さらに，実験中，被験者と実験者は会話によるやり取りを終始継続しなければならないことから，ソーシャルディスタンスをある程度保って安全に実験を遂行するには難題であった．したがって，結果として実験的検討に必要な量的分析に至ることが出来なかったことから，次年度においては是非とも改善し，感染症対策を万全に配して実験に臨みたい．
令和３年度は，これまでの眼球運動研究におけるマイクロサッカード（MS）関連の研究やそれらに関連した文献的検討を実施するとともに，テニスのサービスに対するレシーブ（予測反応事態）においてレシーバーとなる被験者のMSを検出し，それらの出現頻度や方向等から潜在的注意の対象を推定したTakahashi et al.（2018）による実験的検討結果（1次研究）に基づき，2次研究として，テニス選手における固視力について議論した．その結果，予測反応事態における実験環境では検出されるMSの頻度が著しく低下する問題が指摘され，潜在的注意の具体的内容を十分吟味できないことから，MSの出現が十分期待されるPosner刺激を用いた実験環境の設定が提言され，その内容を学会発表した．一方，国際学会への参加や世界一流レベル選手が出場する国際テニス競技大会への視察は，新型コロナウイルス感染症拡大の影響で叶わなかった．
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| Strategy for Future Research Activity |
令和３年度は，令和２年度に続いて，新型コロナウイルス感染症拡大の影響により，当初の実験を十分遂行することが出来ず，実験的検討に必要な量的分析に至ることが出来なかった．令和４年度では，新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みて，感染症対策を徹底した実験の遂行に努めたい．
特に，被験者となる大学テニス選手を募集し，感染予防を徹底した実験室内における実験の実施に理解を求めたい．まずは，できるだけ慎重に実験を遂行するため，被験者を極力絞った人数を設定し，徹底した感染予防対策を講じる．具体的には，PCRまたは抗原検査による実験者の健康確認や，被験者の検温を含めた体調チェック，手指消毒の徹底を図る．また，実験室内は定期的な換気を行い，高性能な空気清浄機を常時稼働させるとともに，被験者が接触する機器類には全て入念な消毒を施す．実験中は，医療用等の高性能なマスクを着用するとともに，実験者と被験者の距離をある程度確保して飛沫感染のリスクを防ぐ（必要に応じて，通信機器等を活用することで，験者と被験者の円滑なコミュニケーションを図る）．さらに，新型コロナウイルス感染症による社会的な影響等も鑑みながら被験者を募集し，実験に対する理解を求めつつ，慎重に実験を遂行する予定である．得られた被験者の眼球運動データは膨大な量となることから，人件費やデータ処理に使用するパソコンを増設し，正確なデータ処理を効率的に進めて行く．
なお，当初から予定していた国際学会における研究成果の発表や，世界一流レベル選手が出場する国際テニス競技大会（全豪オープンテニス大会等）の視察は，新型コロナウイルス感染症による国際社会の動向と安全性を考慮して実行する予定である．また，国内で開催される学術会議や諸学会への出席，あるいは国内のテニス競技大会を対象に視察することも併せて検討したい．
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| Causes of Carryover |
令和２年度に引き続き，令和３年度においても新型コロナウイルス感染症の影響により被験者の確保が十分出来なかったことから，当初予定していた実験を十分実施することが出来なかった．そのため，被験者手当やデータ処理および資料整理等に必要な人件費による支出が発生しなかった．また，海外で開催される国際学会への参加や，世界一流選手が出場する国際競技大会の視察においても，安全上の問題により実現しなかったことから，それらに伴う参加費や海外出張費（海外渡航費および宿泊費等）による支出が発生しなかった．以上により，次年度使用額が生じている．
今年度は新型コロナウイルス感染予防対策に必要な処置を重点的に検討し，実験を効果的に遂行したい．そのため，実験者の健康調査（PCR検査または抗原検査）を加え，実験室に配備する高性能空気清浄機等の備品や，実験機材用および手指用消毒アルコール，ペーパータオル等の消耗品についても，実験手続きに応じて支出する予定である．また，実験が可能となった場合，被験者手当およびデータ処理および資料整理等に充てる人件費のみならず，解析用パソコンをさらに増設する予定である．さらに，新型コロナウイルス感染症の影響や社会情勢を鑑みながら，国際競技大会や学会大会への参加に伴う出張費等を支出する予定である．
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Research Products
(1 results)
