2021 Fiscal Year Research-status Report
Digging up athletes affected by familial acromegaly. - Interdisciplinary approach towards the identification of a new generesponsible genegene
Project/Area Number |
20K11402
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
森田 博之 愛知医科大学, 愛知医科大学, 客員教授 (00311994)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平瀬 翔 愛知医科大学, 医学部, 助教 (30762653)
田邉 昇 大阪医科薬科大学, 医学部, 非常勤講師 (40839495) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 先端巨大症 / 遺伝 / 新規原因遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を進める予定であったが、研究対象候補者の一人が職業的アスリートとして活躍するに至り、周辺状況が一転した。アスリートの試合成績とそれ以外の事が衆目を集めた。通常であれば、家系構成員の遺伝学的検査を施行してもアスリートの家系が遺伝疾患家系という個人情報が漏洩するリスクは極めて少ないが、衆目故に予期出来ない経緯で個人が特定されやすくなった。本点を共同研究者(法家)から指摘された。医学的に問題なければ遺伝疾患罹患者は現役で自由に活躍できるとは限らない。遺伝疾患に対する社会的偏見は本邦に存在し、当該者は科学的根拠なき中傷にさらされ得る。個人特定は研究参加者(アスリート)に多大な心理的負担をもたらす。一方、アスリート活動を支援する組織との契約も厳格に交わされているが、非科学的な根拠に基づき、内容が本人の意向に反することはあり得る。契約締結はエンドースメント企業側の意向大でアスリートの主張は科学的に妥当であっても通りにくい。かかる潜在的問題を解決せずに研究を推進することは研究倫理に反すると共同研究者が強く主張し、研究代表は論破出来なかった。従って、当初着目した家系での解析を一旦断念せざるを得なかった。上記は昨年報告したが、本年度において研究代表者は着目家系の極めて高い学問的価値に鑑み、上述の法家と研究参加アスリートの心理的負担および契約変更等の不利益を回避する方法がないかどうか議論を重ねた。医療倫理に造詣が深い別の専門家にも第三者としての意見を求めた。同時進行的に、家族性先端巨大症の家系を発掘して新規原因遺伝子同定を試みるという本研究の原点に立ち帰り新たなる候補家系を探した。4世代73人よりなり、複数の家系構成員が先端巨大症の可能性を有する大家系が見つかった。この大家系において先ずは、候補者3名(2世代に渡る)の身体診察、家系図、外来/入院診療による詳細な検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
職業的アスリートは遺伝病の家系構成員と判明し、かつその情報が不測の事態によって第三者の知るところとなり、個人を特定されたアスリートが非科学的風評や契約締結スポンサーの非科学的な誤解によって社会的不利益(例:契約破棄または訂正)を被り社会的にまた、心理的にも大きなダメージを受ける潜在リスクは回避できない。たとえ研究者が守秘義務を尊守しても回避不可。研究代表者はアスリートが研究に参加する際に、このようなリスクを明確な文章で示しつつ患者の同意を得たらどうかと提案し、医学倫理に精通した法家と複数回議論した。しかしながら、職業的アスリートの場合、個人が被る心理的負担と社会的不利益は想像を絶する程大きいと言っても過言ではない。その巨大さに本質的問題があり、リスク明文化と同意取得は研究者の保身に過ぎず、研究参加患者の潜在的不利益は現状にて回避不可という結論を覆すことができなかった。別の専門家も結論的には同意見であった。一方、別の候補家系は現時点までに判明している家系構成員が70名を越し4世代に渡る大家系である。本家系における先端巨大症の可能性を考えた家系構成員3名(2世代に渡る)の臨床像および負荷試験を含む精査結果を評価した。軟部組織の増生等先端巨大症に特徴的な所見は認められ内分泌学的異常が示唆されたが、先端巨大症の診断基準を満たさなかった。本家系は内分泌学的疾患(確定診断例:原発性アルドステロン症、22q11.2欠失症候群、性腺機能障害)が多発する家系である。異常な軟部組織増生を呈する別の家系構成員は先端巨大症の可能性があり解析したいが、800km離れた他県在住である。本人に会う目的で現地に出向く計画を立てたが、コロナ禍が収束していない現時点で進捗が滞っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
職業的アスリートが現役を退いた後は周辺の諸状況が研究実施の観点から有利になり得るという指摘があった。即ち、現役引退後においては不測の経緯で個人が特定されるリスクが大幅に軽減する可能性がある。職業的アスリートの母方祖父は下垂体腺腫確定患者で現在85歳とご高齢である。この家系の潜在的学問的価値に鑑みて母方祖父のDNAを一旦保存し、将来的に現役を退いたアスリート、先端巨大症と確定診断された母親、及び他の家系構成員と一緒に解析すべきという議論が持ち上がった。その際には、母方祖父本人および家人に解析結果を知らせないという前提条件付きで祖父は既知先端巨大症原因遺伝子の病的変異がないことだけは解析すべきとの意見があった。いずれにしろDNA保存を実施する方向で現在検討中である。また、当科外来に長年定期受診している別の家系構成員は今後も継続して外来通院していただき、必要時には速やかに連絡がとれる環境が保たれている。一方、他県在住で解析が滞っている新たに着目した家系の構成員は、本人に経緯を説明し同意を得た上で現地の内分泌内科医とコンタクトを取り先端巨大症と確定診断されるか否かを検討する予定である。さらに、これとは別の他県在住家系構成員は先端巨大症に特徴的な身体的特徴を少なくとも部分的に呈しているので、この方についても診察依頼目的で現地の内分泌内科医とコンタクトを取りたい。
|
Causes of Carryover |
倫理委員会の承認を得たが、研究対象候補者の一人が職業的アスリートとして活躍するに至り、周辺状況が一転した。研究参加予定者が衆目を集めた。通常、家系構成員の遺伝学的検査を施行してもアスリートの個人情報が漏洩するリスクは少ないが、衆目故に個人が特定されやすくなった。本点を共同研究者から指摘された。医学的に問題なければ遺伝疾患罹患者は現役で自由に活躍できるとは限らない。遺伝疾患に対する社会的偏見は本邦に存在し、当該者は科学的根拠なき中傷にさらされ得る。個人特定に陥った多大な心理的負担をもたらす。一方、アスリート活動を支援する組織との契約も厳格に交わされているが、非科学的な根拠に基づいて契約内容が本人は望まない方向に変わるかもしれない。締結はエンドースメント企業側の意向大でアスリートの主張はたとえ科学的に妥当であっても通りにくい。上述した潜在的問題を解決できなかったので、家系構成員に研究参加していただくエキソーム解析が出来なくなってしまった。これが、当初計画した使用額と実際に使用した額で差額が生じた主な理由である。
|