2020 Fiscal Year Research-status Report
Limb coordination in Aquatic Sports
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20K11414
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
本間 三和子 筑波大学, 体育系, 教授 (80241800)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肢間協調能力 / 複層リズム / マルチタスクスキル / 引き込み現象 / アーティスティックスイミング選手 / 水球選手 / 立ち泳ぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
アーティスティックスイミング選手と水球選手を対象に,巻き足中の複層リズム課題における肢協調能力を調査した。目的は,巻き足という複雑ではあるが一般的な運動課題の下で,アーティスティックスイマーと水球選手の複層リズムの生成能力を比較することであった.水球選手やアーティスティックスイマーは水中で浮上力を発揮する巻き足運動に慣れているが,巻き足とは異なる頻度で水上の上肢の動きを行う必要がある.アーティスティックスイマー9名と水球選手9名を対象に,自然な巻き足頻度を維持したまま, 腕の円運動の頻度を変化させる課題(自然な巻き足頻度の80 %、100 %、120 %)を行わせた.腕と脚の引き込み現象を評価するために, 腕と脚の平均頻度を2元配置分散分析 (ANOVA) を用いて分析した. その結果,アーティスティックスイマーと水球選手は自然な巻き足頻度の変動係数が類似していたが, 水球選手は120 % の頻度で腕の円運動を行いながら巻き足を自然な頻度で行うことができなかった. 一方,アーティスティックスイマーはすべてのリズムで引き込み現象がみられず,自身の自然な巻き足頻度を維持することに成功した. このことより,アーティスティックスイマーは水球選手よりも複層リズムにおける肢間協調能力が優れていることが明らかとなり,音楽を使ったアーティスティックスイミングのトレーニング経験が肢間協調能力を高めることにつながったと考えられた. 本研究結果よりつぎのように結論づけられた.アーティスティックスイマーは日常のトレーニングにおいて音楽と合わせる動作を行っていることから,水球選手との間に複層リズム生成能力の違いが引き起こされた可能性がある.したがって,音楽を用いた四肢のコーディネーションの訓練により, 複層リズム課題の下での肢間協調能力を獲得することができると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際学術雑誌に論文投稿をし,原著論文として2編が掲載された。 (1) Differences in limb coordination in polyrhythmic production among water polo players, artistic swimmers and drummers. Journal of Motor Behavior, 53, 191~199, DOI: 10.1080/00222895.2020.1748860, 2020-4. (2) The effect of experience in movement coordination with music on polyrhythmic production: Comparison between artistic swimmers and water polo players during eggbeater kick performance. PLOS ONE, 15, e0238197, DOI: 10.1371/journal.pone.0238197, 2020-8.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,令和2年度に実験した結果をまとめて,論文投稿をする。また,つぎの研究課題を進める。令和2年度に投稿した論文では,アーティスティックスイミングのトレーニング経験が複層リズムでの肢間協調能力を高めたことが推察されたが,データで明確に証明されたわけでない。したがって,令和3年度は,トレーニング経験の豊富なアーティスティックスイマーのグループと初級レベルのアーティスティックスイマーのグループの比較を行い,トレーニング経験が複層リズムでの肢間協調能力にどのように影響するかを検証する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において予定していた実験を行うことができなかったこと,ならびに参加を計画していたすべての国際学会と国内学会がオンラインで実施されたため,海外渡航・国内移動に関する旅費の支出がなかったことにより今年度の支出が減少した。2021年度は2020年度に行えなかった実験を実施し,またオープンアクセス研究雑誌へ積極的に論文投稿を行い,その経費に充てることとする。
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