2021 Fiscal Year Research-status Report
Limb coordination in Aquatic Sports
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20K11414
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
本間 三和子 筑波大学, 体育系, 教授 (80241800)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アーティスティックスイミング / 肢間協調能力 / 複層リズム / マルチタスクスキル / コーディネーション能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
アーティスティックスイミング(AS)選手は,水面より上では音楽と同期した動きを行い,水面下では水上の高さを維持するための揚力を発生させるための動きを周期的に行う必要がある。このような複雑な課題を達成するためには,水上動作と水中動作を異なる周波数で行うことができる複層リズム動作の能力が必要である。そこで,競技経験年数の異なるAS選手を対象に複層リズム生成能力を比較・検討した。 16名のAS選手(女性)を,競技経験年数によって2つの群に分けた;高い経験群(競技経験13.3±2.6年,平均年齢23.1±2.9歳),低い経験群(競技経験5.1±1.7年,平均年齢12.4±1.9歳)。対象者はメトロノームの拍子に同期して,手足でタッピングする3つの課題を行った:1つは単一のリズムでタッピングする課題(手と足の両方で750msごと),他の2つは複層リズムの課題(手は500msごと,足は750msごと,またはその逆)。すべてのタッピング課題はパーカッションパッドを用いて行い,Logic Pro Xによりサンプリング周波数 44,100 Hzで録音された。記録はデジタルオーディオファイル(.wav形式)に変換され,MATLABを用いて解析した。正しく課題を遂行できたサイクルのパーセンテージ(PCRC)は二要因分散分析ANOVA(経験×課題)を用いて,タップ間間隔の変動係数(CVITI)は三要因分散分析ANOVA(肢位×課題×経験)を用いて分析した。 ポストホック解析の結果,単一リズム課題では両群間に統計的有意差は見られなかった。しかし,複層リズム課題では経験の少ない群は,PCRC (p <.01) と CVITI (p <.01) の両方で,経験の多い群より有意に劣ることがわかった。競技経験の長いAS選手は経験の少ない選手より優れた複層リズム生成能力を有することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は,令和4年度に行った実験の続きで,トレーニング経験の豊富なアーティスティックスイミング選手のグループと初級レベルのアーティスティックスイミング選手のグループの比較を行い,トレーニング経験が複層リズムでの肢間協調能力にどのように影響するかを検討し,国際学会にて発表した。 VATHAGAVORAKUL, R., GONJO, T., HOMMA, M., TAKAGI, H.: Differences in inter-limb coordination during polyrhythmic production between artistic swimmers with different levels of experience. Prerecorded Oral sessions [OP] - Session-ID: OP-BM04, ECSS Virtual Congress, 2021-9.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度はさらに対照群として一般成人,一般児童の研究対象者を対象にマルチタスク実験を行う。そして,アーティスティックスイミングの経験豊富な選手と同年代の一般女性,アーティスティックスイミング初級レベルの選手と同年代の一般児童を,総合的に比較検討する。結果は,学会発表し,これまでの論文投稿をする。
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Causes of Carryover |
参加を計画していた国際学会と国内学会がオンラインで実施されたため,海外渡航・国内移動に関する旅費の支出がなかったこと,およびコロナ禍で対照群とすべく一般成人と児童の研究対象者が集まりづらく実験の進行に遅延が生じ,年度内中に予定していた実験が行えなかったことにより今年度の支出が減少した。2022年度は対照群の一般女子と一般児童を対象に実験を行い,論文をまとめて国際学会にて発表,およびオープンアクセス研究雑誌へ積極的に論文投稿を行い,その経費に充てることとする。
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