2021 Fiscal Year Research-status Report
途上国支援が体育科の実行カリキュラムに及ぼす効果に関する事例的研究
Project/Area Number |
20K11457
|
Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
鐘ケ江 淳一 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (90185918)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 勇三 愛知学院大学, 教養部, 教授 (30151955)
黒川 哲也 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (50390258)
村末 勇介 琉球大学, 教育学研究科, 准教授 (10782344)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 国際教育協力 / カリキュラム・マネジメント / 援助の有効性 / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.学校体育教育及びスポーツ振興を対象とした開発援助に関する動向分析 カンボジア教育青少年スポーツ省(MoEYS)刊行の学校体育普及・振興政策、スポーツ振興政策に関する一次資料を用いて、以下のような動向を分析した。 「Sport for Tomorrow」等推進プログラムの下で「戦略的二国間スポーツ国際貢献事業」の一環としてカンボジアの学校体育カリキュラムの策定やスポーツイベントの開催を支援する活動が展開されている。2006年以降、MoEYSと連携協力しながら小学校を対象とした活動を展開してきた日本のNGOハーツオブコールド(HG)も、中学校、高等学校の体育科学習指導要領作成を始めとした体育普及事業に取り組んでいる。コロナ禍による制約があったものの、2022年度には中学校体育普及の拠点となる州を中心とした小中高等学校の体育授業実施状況調査(モニタリング)を実施している。さらに、国立体育・スポーツ研究所(NIPES)、HGなどが連携協力しながらプノンペンなどの主要都市でPE拡散計画実施研修会、Physical Education for Allプロジェクト普及計画実践ワークショップなどを開催しながら普及事業を展開している。 2.現地関係者との学校体育・スポーツの実態把握のための研究協議 COVID-19の感染拡大による緊急事態宣言発出に伴う海外渡航禁止などの措置により、Zoom、SNSなどのオンラインによる関係者との研究協議に代替した。COVID-19下での一斉休校、学校再開時の現地の学校関係者の対応、体育授業の実施状況などについて検討した結果、①クメール語(国語)、算数などの知的教科に傾斜した授業の実施状況、②ネット環境の格差にみられる都市部-農村部間の格差、農村部内で経済的格差の是正、③現地への渡航を前提としない支援の検討などが、今後の課題として抽出された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度の研究課題の一つである学校体育教育及びスポーツ振興を対象とした開発援助に関する動向分析については当初の予定通り遂行することができた。しかし、COVID-19の感染拡大による緊急事態宣言発出に伴う海外渡航禁止などの措置により、当初予定していた現地関係者との研究協議、小中高等学校の体育授業実施状況調査(モニタリング)を目的とした渡航を中止することとなった。そこで、体育授業の実施状況に関する資料・情報収集、現地関係者との協議をZoom、SNSなどのオンラインによる代替することとした。学校体育に関するCMの作成・伝播過程の論議に関する現地関係者への個別・グループインタビューについては、COVID-19収束後の渡航時に実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を推進していく上で、COVID-19の感染状況を考慮しながら、現地への渡航の可能性を模索していきたい。COVID-19による一斉休校、学科再開の動きの中で、先の「研究実績」で示したような、貧困、格差が学校教育・体育の普及に向けた課題が顕在化していることが示唆された。一方で、カンボジア教育青少年スポーツ省(MoEYS)は、スマートフォン向け教育アプリの体育コンテンツ開発に注力している。こうした「オンライン・遠隔教育の導入」にかかる課題としてデジタル・デバイドによる教育格差が指摘されている。協力本研究課題である国際教育協力の実施体制が現地の学校体育の実行カリキュラムへの効果の検証にくわえ、COVID-19が学校教育・体育にもたらす影響についても検討をくわえたい。 さらに、本年度の後半では、前年度までの総括とそれを踏まえた研究成果報告(学会発表)を行う。
|
Causes of Carryover |
世界的なCOVID-19の感染拡大による緊急事態宣言発出に伴う海外渡航禁止などの措置により、当初予定していた現地関係者との研究協議、小中高等学校における体育授業の実施に関する調査(モニタリング)を目的とした渡航を中止することとなったため。 今後の研究を推進していく上で、COVID-19の感染状況を考慮しながら、現地への渡航の可能性を模索していきたい。学校体育に関するCMの作成・伝播過程の論議にくわえ、COVID-19の学校体育の普及に及ぼす影響に関する現地関係者への個別・グループインタビューについては、COVID-19収束後の渡航時に実施する予定である。
|