2020 Fiscal Year Research-status Report
動脈血管内皮機能の新たな測定評価手法の開発とその応用
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20K11467
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
福場 良之 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (00165309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 雅子 (遠藤雅子) 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (30336911)
鍛島 秀明 県立広島大学, 人間文化学部, 助教 (40714746)
林 直亨 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (80273720)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血管内皮機能性 / 評価手法 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で開発・提案予定の血管内皮機能測定方法を,SS(sustained stimulus)-FMD法と呼ぶ。同法開発において根幹をなす検討課題である,ステップ状な一定SR(Shear Rate)刺激を実現する手技として,当該年度では,掌握(HG)運動による実現の可否を検討した。健康な成人男女10名が実験に参加した。プロトコールは,測定日の朝からほぼ2時間毎に5回,デジタル超音波診断装置を用いて,右上腕動脈(BraChial Artery, BA)を対象に,血管内皮機能(Flow Mediated Dilation, FMD)検査と,本研究の巻頭課題である運動誘発性血管内皮機能(Ex-FMD)検査を以下に示す方法で行った。毎回,まずFMD検査を行い,それに引き続いて,仰臥位でEx-FMD検査を実施した。2分間のベースライン測定後,実験者の運動開始の合図に従って,被験者は事前練習と同様の筋収縮リズム及び目標となる血流速度(SR:約75 /s相当)の強度で6分間の掌握運動を行った。血管径及びSRは20秒毎に平均値を算出した。運動開始前2分間の血管径の平均値をベースライン値,運動5分目から6分目の平均値を運動時血管径の値とした。ベースライン径と運動時血管径の値から%FMD[(運動時血管径-ベースライン径)/ ベースライン径×100]。なお,2条件の1回目の計測データを用いて再現性試験を行った。その結果,HG運動でほぼステップ状なSR刺激を実現でき,その応答としての血管径は,ほぼ2-3分で定常状態を示した。10名で求めたEx-FMD値には再現性が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に検討予定の掌握(HG)運動による一定ステップ状SR刺激については,まず,概要で述べたような,SR:75(/s)のステップ入力を行い,それに対する血管径拡張(すなわち,血管内皮機能性の優劣依存で拡張性が異なる)を測定するシステムが構築できた。従って,それ以外の複数な一定SRの値についても実験を行い,すでにデータは取り終えており,現在,結果の解析中であり,ほぼ,当初の予定通りに進んでいると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ当初の予定通りに遂行されてきているので,今年度は,当初の計画通り,一定SR値によるステップ入力を,温熱刺激+カフ圧操作で実現する方法の開発に挑む。具体的には, HG運動による場合と同様,5段階程度のSR(50~150)に相当する平均BV(= SR・D)を各被験者で事前に決定する。被験者の前腕部(肘下にカフを装着)を恒温水槽内で静置し,前腕部カフ圧を200 mmHgに一気に加圧し阻血したまま,恒温槽へ40℃温水を入れる。15分経過後,実験者はカフの弁を少し開放して阻血を部分解除し,ドップラ測定装置画面上にリアルタイム表示される平均BV表示が,SR:50に相当するBV値に一致,保持できるよう圧制御を操作し3分間維持する。その後,カフ圧を一気に加圧し阻血状態に戻して5分間維持後,再び1回目よりはやや大きなカフ減圧を行い,SR:75相当なBVになるように圧制御を操作する。このような操作を繰り返すことで5段階な一定SR刺激を実現する予定である。なお,被験者は健常な10名程度を予定している。
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Causes of Carryover |
当該年度では,当初予定していたソフトの作成を取りやめた,またコロナ禍で学会発表の機会がなかったことなどで,次年度繰越金が生じた。次年度は,研究申請当時よりも実験内容が進行しているので,それにあわせて経費の増大が予想されるので,それへ充当する予定である。
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Research Products
(1 results)