2023 Fiscal Year Annual Research Report
動脈血管内皮機能の新たな測定評価手法の開発とその応用
Project/Area Number |
20K11467
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
福場 良之 広島国際大学, 健康スポーツ学部, 教授 (00165309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 雅子 (遠藤雅子) 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (30336911)
鍛島 秀明 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (40714746)
林 直亨 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80273720)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血管内皮機能性 / 運動 / 評価法開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の検討結果に基づいて,最終的な段階として,トレーニング実験を実施した。われわれ独自のアイディアに基づく手技で実現した血管内皮機能の新たな評価方法SS(sustained stimulus)-FMD法,すなわち温熱刺激とカフ圧操作を併用して数段階の一定SR値によるステップ入力で刺激してその際の拡張の関係性をシグモイド曲線で評価する方法を,持久性トレーニングの前後で実施した。健康な若年成人26名(男性12名,女性14名)を,ランダムにトレーニング(T)群11名と対照群(C)15名に群化した。持久性トレーニングは,脚自転車エルゴメータによる運動(強度:心拍数が約130bm相当)として,1回に60分,これを週3回の頻度で4週間継続した。4週間の介入前後に,SS-FMD法を用いて血管内皮機能を評価した。シグモイド曲線の特性により,SS-FMD法での重要な指標,sensitivity(S:同一SR増加に対する最大血管拡張能)を算出した。併せて,従来のRH-FMD法による評価も行った。その結果,SS-FMD法によるSは,4週間の運動トレーニング群においてのみ有意な向上が認められた。一方,従来の測定方法であるRH-FMD法による評価には,コントロール群のみならず,トレーニング群でも,その前後で,有意な変化は認められなかった。本研究で提案した,RH-FMDの問題点を克服したSS-FMD法は,新たな血管内皮機能評価法になりえる可能性を示した。 本研究全体を統括すると,現行のRH-FMD法の問題点を解決するために,新たなSS-FMD法を開発し,まず方法の妥当性を検討し,良好な結果を得た。さらに提案した方法の応用として,運動トレーニングによる抗動脈硬化作用に対する適用を試み,従来法では検知できなかった血管内皮機能の感受性によって,その作用をより鋭敏に検知できることを示した。これらの結果により,本研究で提案したSS-FMD法は,新たな血管内皮機能評価法になりえる可能性を示した。
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