2020 Fiscal Year Research-status Report
食事因子のみで非アルコール性脂肪肝炎から肝癌へ進行するモデルの確立
Project/Area Number |
20K11567
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
北森 一哉 金城学院大学, 生活環境学部, 教授 (80387597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 民江 中部大学, 生命健康科学部, 特任教授 (10020794)
飛田 博史 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (60457190)
安井 菜穂美 武庫川女子大学, 薬学部, 講師 (70399145)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | NASH / 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、高脂肪・高コレステロール(HFC)飼料の摂取期間を変えるだけで肝臓の脂肪沈着・炎症・肝細胞肥大に加え、重度線維化へ進行する、非肥満型NASHモデルラット(SHRSP5/Dmcr)を作製してきた。その後、経時変化、性差、NASH肝病変進展メカニズム、食事療法など、明らかにしてきた。優れたモデルとして、多くの方々に興味を示していただく中で、食事因子のみでNASHから癌に進行するモデルが広く望まれていることを知った。しかし、そのようなモデルは存在しない。皮肉な現実だが、疾病をなくすための病態進行予防や治療の研究には、病態の再現(疾患モデル)が必要である。 そこで、本研究は、「食事因子のみで、NASHから肝癌まで進行するモデルを確立すること」を目的とした。 SHRSP5/Dmcr雄10週齢24匹を4群(各群6匹)に分ける。①普通(SP)飼料、②高脂肪・高コレステロール(HFC)飼料、③HFC飼料 + 鉄(低濃度鉄食) ④HFC飼料 + 鉄(高濃度鉄食) 計4群(各6匹)とする。鉄(低濃度鉄食)添加量は、食事摂取基準の耐用上限量(体重あたりに換算)とする。鉄(高濃度鉄食)は、既存の論文を参考に設定し、鉄(低濃度鉄食)の100倍量とする。鉄の餌への添加は、クエン酸鉄(III)(食品添加物)を上記の鉄量に換算して添加することを決定し、動物及び飼料の発注を済ませ、納入待ちの状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の対応のため、研究のスタートが遅れた。 その後、2020年末に研究を始めるため動物を発注したところ、動物が不足しており納品時期が早くて半年後となった。そのため、早くて2021年夏のスタートとなった。 その時期に合わせて、サンプル測定のための予備試験及び特殊配合飼料の配合検討及び発注等できる準備は済ませた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年夏に動物を納入して、特殊配合飼料を与えて飼育する。飼育期間終了後、サンプル採取する。 血中生化学変化の確認として、肝機能を明らかにするため、血清ALT・AST・γGTP値を測定する。鉄代謝を明らかにするため、血清フェリチン・トランスフェリン・リン値を測定する。炎症を明らかにするため、血清TNFα値を測定する。 肝臓脂質沈着・炎症・肝細胞肥大・線維化の確認として、脂質沈着・炎症・肝細胞肥大・線維化を明らかにするため、4%パラフォルムアルデヒド(PFA)で固定した肝臓パラフィン切片は4μmに薄切し、ヘマトキシリンエオジン、アザンで染色し確認する。 また、肝臓の鉄沈着及び発癌確認、生化学的メカニズム確認のための準備に取り掛かる。次年度の準備を行い、サンプル採取後速やかに分析を進めて遅れを取り戻すようにする予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の対応により研究のスタートの遅れと、動物の不足により納入時期が遅れたため、動物及び餌代のメインとなる支出分が年度をまたぐこととなった。 繰越分は動物及び餌代ですべて消費することとなる。その他は、サンプル採取と採取後の測定を急ぎ、遅れを取り戻す予定であり、これらの測定代で消費する。
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