2020 Fiscal Year Research-status Report
The role of breakfast on endothelial function and circulatory response to mental and physical stress in human
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20K11607
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
鍛島 秀明 県立広島大学, 地域創生学部, 准教授 (40714746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福場 良之 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (00165309)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 朝食欠食 / 胃内容排出 / 血管内皮機能 / グルコース / インスリン / 朝食 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】朝食摂取の有無が日中の血管内皮機能及び血糖調節に及ぼす影響を検討した。 【方法】健康な若年成人10名(女性6名,男性4名)が2回の実験プロトコールにランダムな順序で参加した。被験者は8時30分~9時に朝食を摂取(B-yes)あるいは欠食(B-no)し,12時~12時30分に昼食を摂取した。8時00分,10時,12時,13時30分及び15時30分に,右上腕動脈を対象に血管内皮機能検査(FMD検査)を行った。FMD検査とは,対象とする前腕部をカフで5分間阻血後に開放し,その直後に急増する血流が血管壁に対するシェアストレスとなり,血管内皮細胞の一酸化窒素の放出を惹起し,血管自体をどの程度,拡張させるかを測定して,血管内皮機能を評価する方法である。具体的な評価指標は,阻血解除1分前の血管径をベースラインとし,それに対する最大血管拡張率(%FMD)である。FMD検査の実施とほぼ同じ時刻に,指先から微量な血液を採取し,血中グルコース濃度及び血漿インスリン濃度を測定した。消化器系機能の指標として,昼食摂取後の胃内容排出速度(GER)を,13C呼気試験法を用いて評価した。 【結果】B-yes条件では,%FMDは朝食摂取前の値から午後に向かって徐々に高まる傾向を示したのに対して,B-no条件では,朝食摂取前の値とほぼ同じ値で推移した。昼食後の血中グルコース濃度は,B-no条件がB-yes条件に比べて有意に高かった。昼食後の血漿インスリン濃度は,条件間に有意な差がなかった。昼食後のGERは,B-no条件がB-yes条件に比べて有意に遅かった。 【結論】朝食は日中の血管内皮機能を高める可能性が示唆された。B-no条件における昼食後の高血糖反応は,消化吸収速度に依存するものではなく,末梢臓器(例えば骨格筋・肝臓等)におけるグルコースの取り込みが急性的に低下した結果である可能性が推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度の目標は,前日の夕食摂取の時刻と朝食摂取の有無が,日中の血管内皮機能に及ぼす影響と,その機序の解明に取り組むことであった。一方,令和2年度は,研究実績の概要で記した通り,朝食摂取の有無の影響のみの検討に終わった。原因は,コロナ禍の状況で,当初の予定よりも実験開始が遅れたこと,併せて被験者のリクルートに苦労したことの2点が挙げられる。したがって,当研究課題の進捗状況は「やや遅れてている」ものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,令和2年度に検討できなかった研究課題について取り組む。併せて,令和3年度の研究内容「前日の夕食摂取の時刻と朝食摂取の有無が,日中の血圧調節に及ぼす影響と,その機序の解明」にも取り組む。令和2年度に,実験のプロトコールならびに測定・解析方法の手順を確立することができたことから,実験の開始時期を早めることができると考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の状況で,当初の予定よりも実験開始が遅れ,当初の予定よりも実験試行数が少なかった。したがって,消耗品及び被験者へ支払う謝金への支出が少なかった。併せて,学会がオンラインで開催されたことから旅費の支出がなかった。 今年度は,前年度に実施できなかった実験と,今年度実施予定の実験を併せて行うことから,前年度に使用できなった研究費は,今年度に全て使用する計画である。
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Research Products
(1 results)