2020 Fiscal Year Research-status Report
胎児期からの脂肪酸摂取バランスが炎症性腸疾患の寛解と再燃に与える影響
| Project/Area Number |
20K11609
|
|---|
| Research Institution | Dokkyo Medical University |
|---|
Principal Investigator |
徳田 信子 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70227578)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和田 祐二 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20292211)
入澤 篤志 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60295409)
山本 由似 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (80635087)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
| Keywords | 脂肪酸 / 炎症 / 腸炎 / 胎児 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
これまで、脂肪酸シャペロンである脂肪酸結合タンパク質(fatty acid binding protein, FABP)に着目した研究を行い、FABPおよび多価不飽和脂肪酸による種々の炎症の制御について報告してきた。現在、胎児期からの脂肪酸摂取バランスが、炎症に関与する細胞に与える影響について検討している。
特定の脂肪酸シャペロン遺伝子を欠損したマウスについて、野生型マウスと比較し、デキストラン硫酸ナトリウムで誘発した腸炎が有意に悪化するという結果を得ている。このマウスについて、離乳後からの成長を野生型のマウスと比較した。離乳させた4週齢時点では、遺伝子欠損マウスと野生型マウスの体重に有意差はなかった。その後、遺伝子欠損マウスの方が体重増加のスピードが速く、10週齢時点では、野生型に比して約1.3倍となった。また、遺伝子欠損マウスは腸の長さが長く、脾臓が大きい傾向が見られた。このマウスは、高齢での体重の異常は見られないことから、比較的若い時期に肥満に傾きやすく、炎症が惹起されやすい可能性が示された。現在、炎症を惹起した部分についての細胞動態の解析を進めるとともに、炎症の早期に現れるマーカーの同定を進めている。
脂肪酸結合タンパク質については、FABP3（心臓型FABP）やFABP5（表皮型FABP）が免疫系の細胞を制御し、アレルギー性疾患の発生機序に関与することが明らかになった。また、FABP7（脳型FABP）は、遺伝子発現についてエピゲノム修飾を介して調節することも示された。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19蔓延の影響が大きい。年度初頭は、種々の実験を控えざるを得なかった。動物モデルを使用したデータ取得については、その後、実施が可能となった。しかし、大学間での研究者の移動の制限や臨床検体へのアクセスが困難であることから、計画していても実施できなかった実験があった。
|
| Strategy for Future Research Activity |
Covid-19による教育への影響に対応するため、未だに多くの時間を取られている。ただ、申請者が所属する機関の周囲は、現在、比較的、covid-19の蔓延が落ち着いている。当面、できる限りの研究を行ってゆく。特に、動物の検体を使用した実験については、昨年度に計画していた内容も含め、遂行してゆく。同じ構内に病院があり、多くの学生も抱えていることから、不測の事態に対応できるよう、研究は柔軟な計画の下に行う。学生が少ない時期などに集中して研究を進めることを検討している。
他施設との往来は未だに困難であることから、インターネット経由で、研究の進捗状況について報告し合うとともに、今後の研究遂行の方法について検討する。臨床検体の使用については、ウイルス蔓延収束後、可及的速やかに開始できるよう、準備を行う。臨床データとの比較は可能な部分から開始する。
|
| Causes of Carryover |
Covid-19感染拡大の影響で、申請者の施設内で実施可能な研究を中心に行った。マウスも、感染拡大前から維持できていたものを主に使用した。また、発表を予定していた複数の学会がオンライン開催となり、旅費の分を次年度使用額として活用できることとなった。生じた次年度使用額は、前年度に収集を開始した検体の解析に使用する予定である。今後もcovid-19の影響が続くと考えられるので、感染が蔓延しても継続可能な計画を立てて研究を遂行する。
|
