2022 Fiscal Year Annual Research Report
高効率にエネルギーを産生できる腸内細菌叢と肥満の関連に関する研究
Project/Area Number |
20K11652
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
本郷 涼子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 講師 (50551834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
世羅 至子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (20470289)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低糖質食 / 腸内細菌 / 呼気水素ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
低糖質/高たんぱく質食が腸内細菌叢の構成と発酵・分解能へ及ぼす影響を検討した。また、腸内細菌由来の短鎖脂肪酸の産生能の指標として呼気水素ガス排出量を用いて短鎖脂肪酸産生能の変化を推測した。 被験者は20代の健常成人女性7名とし、2週間の低糖質/高たんぱく質食(糖質エネルギー比40%程度となるよう食事指導)を実施してもらった。糖質制限前後の腸内細菌叢の変化、体組成の変化ならびに特別試験食(日本人の平均的な3食の食事を想定した試験食)摂取後24時間までの累積呼気水素ガス排出量(AUC)の変化を検討した。 体重、筋肉量、体脂肪量に変化は認められなかった。腸内細菌叢の変化を検討したところ、F/B比に変化はなかった。α多様性においては、Simpson indexで低炭水化物食後が有意に高値であった。低炭水化物食後に有意に低値となったのはMediterraneibacter比、有意差はないが高い傾向を示したのがAkkermancia比、Lactobacillus比、Fusobacterium比であった。低炭水化物食後で有意に高値となったのはBlautia比であった。24時間呼気水素ガス排出量は、2週間の低炭水化物食後において低くなる傾向がみられた。 低糖質/高たんぱく質食によって、抗肥満作用があるとされるAkkermancia比が高くなる傾向が示された一方、体脂肪量に変化は認められなった。本研究の食事制限は2週間と短く、今後長期にわたる検討が必要である。また、呼気水素ガス排出能の減少が確認されたことから、腸内細菌を介した短鎖脂肪酸産生能が減少している可能性が推察された。短鎖脂肪酸はエネルギー源となる一方、交感神経系を介してエネルギー消費亢進にも働くという相反する作用があり、本研究で認められた現象が脂肪蓄積にどのような意味を持つのか詳細な検討を行っていく予定である。
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