2020 Fiscal Year Research-status Report
新規臓器間ネットワーク因子の同定とその作用機序の解明
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20K11660
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Research Institution | Tezukayama Gakuin University |
Principal Investigator |
向井 貴子 帝塚山学院大学, 人間科学部, 助手 (60701464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠堂 達也 帝塚山学院大学, 人間科学部, 准教授 (00460535)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 臓器間ネットワーク / ヘパトカイン / バトカイン / 褐色脂肪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分泌型糖タンパク質CREG1が臓器間ネットワークを担う内分泌因子として広く全身性に働いていることを明らかにすることを目的とし、(1) CREG1の発現条件、標的臓器、生理作用の検討、(2) CREG1の取込み機構・作用メカニズムの解明 、(3) CREG1の発現制御機構の解明の3つを柱とした研究を行う。令和2年度は、主に(1)の発現条件について検討した。寒冷環境下でのCREG1発現のタイムコースを検討したところ、肝臓、内臓脂肪におけるCREG1の発現量は寒冷によってほとんど変化しなかったが、褐色脂肪、皮下脂肪におけるCREG1の発現は寒冷一週間後をピークとして、それぞれ5.4倍、2.2倍に上昇した。一方、絶食条件下においては、肝臓におけるCREG1の発現は1.6倍に上昇したが、その他の組織ではほとんど変化は見られなかった。また、肝臓におけるCREG1の発現上昇は再摂食4時間後には元の発現レベルに戻った。このことから、CREG1の発現は寒冷、及び栄養シグナルに応じて組織特異的な発現変動を示すと考えられた。そこで、この発現変化のメカニズムを解析するために、CREG1の上流2kbをクローニングしレポーターアッセイ系を構築した(項目(3)に対応)。しかしながら、CREG1の発現を誘導することが報告されているデキサメタゾンやイソプロテレノールに対してレポーター遺伝子の応答は見られなかった。従って、CREG1の発現制御領域は、CREG1の上流2kbより上流にあると考えられた。(2)に関しては、取り込み実験で使用するリコンビナントCREG1タンパク質を調製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では、(1) CREG1の発現条件、標的臓器、生理作用の検討、(2) CREG1の取込み機構・作用メカニズムの解明 、(3) CREG1の発現制御機構の解明の3つを柱として研究を進める。令和2年度は実験実施計画に従い、(1)を中心に検討し、寒冷、絶食における発現応答について検討した。また、(3)についても検討を開始したが、(1)、(2)に関しては十分に進捗しているとはいえないことから令和2年度は実施計画に対してやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度も令和2年度に引き続き、(1) CREG1の発現条件、標的臓器、生理作用の検討、(2) CREG1の取込み機構・作用メカニズムの解明 、(3) CREG1の発現制御機構の解明の3つを柱として研究を進めていく。 (1) CREG1の発現条件、標的臓器、生理作用の検討:少し遅れ気味である標的臓器や生理作用に関して、令和2年度に検討した寒冷、絶食条件下におけるCREG1の働きを中心に、CREG1抑制アデノ随伴ウイルスベクターを用いた組織特異的抑制実験により検討を進めていく。(2) CREG1の取込み機構・作用メカニズムの解明:CREG1の取り込み機構について、令和2年度に調製したリコンビナントCREG1の細胞への添加実験を実施し、取込み機構を解析していく予定である。(3) CREG1の発現制御機構の解明:CREG1遺伝子上流4kbを目途にレポーター遺伝子を構築し、発現制御機構の解明を進める予定である。
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Causes of Carryover |
理由 令和2年度は、コロナ感染症の拡大による緊急事態宣言により、研究活動に制約があり、実験計画全体に遅れが生じた。 使用計画 当初の計画通り、CREG1発現あるいは抑制のアデノ随伴ウイルスを精製し、動物への投与実験と生理機能の解析費用に充てる。
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