2023 Fiscal Year Annual Research Report
カメラが高速で移動する3DCGゲームの眼精疲労を防止するレンダリング手法の確立
Project/Area Number |
20K12034
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
井ノ上 寛人 東京電機大学, 未来科学部, 助教 (40724604)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ビデオゲーム / カメラワーク / レンダリング / オクルージョン / 瞬目 / UI/UX / 感性工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
三人称視点の3DCG冒険アクションゲームでは、ユーザが操作するアバタとユーザの視点となるカメラの間に障害物が入り込むことでユーザからアバタの姿が見えなくなるオクルージョンが頻発する。この種のゲームおいて、オクルージョンは視認性や操作性を低下させる要因となるため、ゲームシステム側でその対策が求められる。主な対策手法としては、オクルージョンが発生した際に(1)アバタをシルエット化する手法、(2)障害物を半透明化する手法、(3)障害物を半透明のシルエットとする手法などが提案されているが、これらの3手法のユーザビリティ改善効果は定量的に明らかにされていないのが現状であった。 そこで本研究では、前述したオクルージョン対策手法の定量的な効用の解明を目的とした評価実験を行った。その結果、障害物を半透明化する2手法は、アバタをシルエット化する手法と比べて、カメラの操作量を14%程度減らす効果があり、視認性、操作性、および心理的満足度を向上することが明らかになった。また、障害物を半透明のシルエットとする手法には、視認性の向上や主観的疲労感を軽減するといった効果の他に、オクルージョン対策がない場面の観視時よりも瞬目回数をやや低い水準にする効果があることが明らかになった。これらの効果は、アバタやカメラの移動速度が遅い場合に顕著に発揮され、障害物を単に半透明化する手法が有する視認性向上効果を上回るが、迫力感については低下してしまう傾向が示された。 以上のことから、(a)アバタをシルエット化する手法は、ゲームフィールド上での冒険や探索が簡単になり過ぎないゲームとしたい場合に、(b)障害物を半透明化する手法は、移動速度が速い場合や迫力感を下げたくない場合に、(c)障害物を半透明のシルエットとする手法は、映像に含まれる視覚刺激を抑制し、視認性を向上させたい場合にそれぞれ有用であるといえる。
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