2022 Fiscal Year Annual Research Report
アーカイブデータの大規模解析による長鎖非コードRNA機能解析のための情報基盤構築
Project/Area Number |
20K12041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩切 淳一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (40770160)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 長鎖非コードRNA / リードスルー転写産物 / 難抽出性RNA / RNAーRNA相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
lncRNAの一種であるリードスルー転写産物に関する研究の一環で、難抽出性のRNAを効率的に抽出・シークエンシングする手法である難溶性RNA-seqのデータ解析を共同研究で実施した。この研究では、熱ストレス・浸透圧ストレス条件下の細胞での転写産物の変化を難溶性RNA-seqを用いて調べており、このデータ解析の結果、ストレス条件下で誘導される長さ10kbを大幅に超える長大なリードスルー転写産物が多数検出された。このことから、ストレス誘導性のリードスルー転写産物の多くは、難溶性という特徴を持ったRNA分子であることが示唆された。 また、公共データベースに登録されているRNA-seqデータからリードスルー転写産物を検出する手法として、最近開発されたツールであるARTDeco(DOI:10.1186/s12859-020-03551-0)の性能評価を実施した。ARTDecoは、上流遺伝子のリードスルー転写が下流に存在する別の遺伝子にまで伸長してしまうことで、本来上流遺伝子のみで検出されるべきリードスルー転写産物が下流遺伝子でも誤検出されてしまう(Read-in gene)問題を考慮した解析が可能であり、昨年度までの解析してきたRNA-seqデータに適用したところ、解析結果に含まれていた擬陽性の下流遺伝子のリードスルー転写の検出を非常に低く抑えることができ、より信頼性の高いリードスルー転写産物のセットを取得することが可能となった。 昨年解析を行ったRNA-RNA相互作用検出の実験手法であるPARISのデータ解析について、特定のデータに着目することで分子間相互作用と分子内相互作用を区別することが可能であるとの報告がなされた(DOI: 10.1101/gr.275979.121)。この手法をlncRNAの相互作用検出に適用したところ、lncRNAの相互作用の多くは分子間相互作用であることが示唆された。
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